1987 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
62480290
|
Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
鈴木 宗平 弘前大学, 医学部, 助教授 (70003390)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小山 浩一 弘前大学, 医学部附属病院, 助手 (90183350)
|
Keywords | 小児心不全 / 補助循環 / 大動脈ー大動脈バイパス |
Research Abstract |
小児開心術時に起こり得る急性心不全に対して, 有効な補助循環法を開発する目的で小児の体格に相当する雑種成犬をモデルとして大動脈ー大動脈バイパス実験を行った. 犬の上行大動脈と大腿動脈間にバイパスを作成しその途中に, 通常体外循環で拍動流発生に用いられるディスポーザブルバルーンユニット(コントロン社製)を挿入, 拍動流ポンプ(コントロン社製モデル20)に接続して, ECGに同期させ, 心収縮期にはバルーンを拡張させて回路内に血液を汲み出し, 拡張期にはバルーンを収縮させて回路内血を駆出させるようにした. 犬28頭でこの装置を作動させたが, バルーン収縮,報張時間,バルーン内圧を調節することにより, 拡張期血圧を収縮期血圧と同じか, わずかに高く保つことが出来, 収縮期血圧(ピーク圧)と, 拡張終期圧は, 作動前にくらべてバイパス中は有意差(P〈0.01)をもって低下し, 一般に臨床で実用化されている大動脈内バルーンパンピング(1ABP)と同じ二峰性の曲線が得られた. 心拍出量は有意差はないがわずかに増加の傾向があるのに左室収縮期圧は有意に(P〈0.05)低下した. 本法が補助循環法としての効果を持つことが示唆された. 腎, 腸間膜の組織所見でも著変は見られなかった. このユニットは弁構造を持たないが, 血流の方向性があり(40〜50ml/min), self washoutにより, ある程度抗血栓性を持つと思われる. さらに, メシル酸がベキサートを量を変えて投与し, 19頭において, 動静脈間に装着したフィルターの走査電顕像,血液凝固学的検討から, 本剤, 45〜65mg/kg/minで血栓形成を防止出来, 実施に当ってヘパリン投与を不要とするか, あるいは減量出来る可能性があるものと思われた.
|