1989 Fiscal Year Annual Research Report
開心術起因の心刺激伝導障害に関する研究:伝導系走行立体表示と突然死の機序解明
Project/Area Number |
62480295
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Research Institution | Kochi Medical School |
Principal Investigator |
田宮 達男 高知医科大学, 医学部, 教授 (30145114)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松本 孝文 高知医科大学, 医学部, 助手 (00165896)
山城 敏行 高知医科大学, 医学部, 講師 (10145138)
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Keywords | 房室ブロック / 刺激伝導系 / 先天性心疾患 / His束 / 組織学 / 術後不整脈 / 結節間伝導路 / 心臓電気生理学 |
Research Abstract |
開心術に起因する心刺激伝導障害は、術後早期および遠隔期の突然死など致命的な合併症の原因となる。これらの刺激伝導障害のうち心房内刺激伝導路の外科的障害と術後不整脈の関連について、特に後結節間伝導路障害の影響を中心に電気生理学的に検討を加えた。雑種成犬22頭を用い気管内挿管全身麻酔下にまず心拍動下で心房のマッピングを行い心房内の刺激伝導様式の検索を行った。この結果、従来より文献的にいわれている後結節間伝導路に相当する分界稜に沿った部分の早い刺激伝導を確認した。次にcardiac stimuratorを用い心房高頻度刺激法による心房細動・粗動の誘発を行いその継続時間を測定した。以上の操作を右心房中央付近に任意の縦切開を加えた後、および分界稜に広範囲縦切開を加えた後の両者についても行い比較検討した。この結果、心房内の刺激伝導様式は分界稜部位の切開後のみ、この切開線に沿って著明に遅延した。また誘発した心房細動・粗動の継続時間は切開前では5.75±2.12秒、任意縦切開後出は4.75±1.91秒であり、両者とも心房細動のみで心房粗動は発生せず、継続時間にも有意差はなかった。一方、分界稜部位の切開後では10例に持続性の心房細動・粗動を認め、内7例が心房粗動であり発生率上に有意差を認めた。以上より開心術後上室性不整脈の発生に後結節間伝導路の障害が深く関与しているものと考えられた。これらの結果は第90回外科学会総会(1990年5月、札幌)で発表予定である。 先天性心疾患手術後の房室伝導障害に関する組織学的研究は、前年度に引きつずきHis束中枢部を中心に心室中隔欠損症例およびファロ-四徴症例について行い、手術中の縫着糸刺入出時にHis束を障害しないための解剖学的指標を示した。この結果については現在、日本外科学会雑誌に投稿中である。
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