1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
62480302
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
蕎麦田 英治 弘前大学, 医学部付属病院, 講師 (70142859)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
関谷 徹治 弘前大学, 医学部, 助手 (70154656)
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Keywords | 空気塞栓 / 硬膜静脈洞圧 / 頸部圧迫 / 脳循環 / 脳波 / 血液脳関門 / 頭蓋内圧 |
Research Abstract |
空気塞栓の予防法に関し、本年度は 「頸部圧迫」 の脳循環rGBF脳機能(脳波:EEG)及び血液脳関門機能(BBB)などに対する影響について検討した。実験には、脳循環と脳機能については雑種成犬(体重7-13Kg)を、血液脳関門機能についてのみ雑種成犬とラットを使用した。rCBFは水素ガスクリアランス法にてそくてきしEEGは一側頭頂部脳波質内に針電極を刺入して導出したBBBの検討は3%Evans blueを静注し、その漏出度を大脳皮質、大脳髄質、大脳基底核部、小脳及び脳幹部にて検索した。その他、頭蓋内圧(ICP)、硬膜静脈洞圧(CSP)中心静脈圧(CVP)、平均血圧(MBP)、脈搏(HR)、心電図(ECG)などを同時に計測した。頸部の圧迫は血圧測定用カフ(新生児用、幅5cm)を皮膚に密着するように巻き、カフ内にairを入れて膨らます方法を用いた。圧迫圧は45度挙上時の吸気時CSPが-7.4±1.2cmH20、呼気時が+9.2±1.2cmH20で、この陰圧を改善するためにカフ内圧を上げたところ3.15mmHgの時に陽圧に転じたためこの内圧を採用し、その弊害を検討した。なお対照として30mmHgを採用した。(1)rCBF:水平位から頭部を45度挙上すると、rCBFは約18%減少した。この時点でカフ内圧を15mmHgにするとさらに約22.3%まで減少し、30mmHgでは約45%と高度の減少を認めた。(2)EEC:脳循環の変化にほぼ平行して、頸部の圧迫とともに徐波が出現した。(3)BBC:15mmHg程度の圧迫ではいずれの断面にもEvans blueの漏出は認められなかった。しかし30mmHgの圧迫では高度の漏出が認められた。(4)その他:MBPは45度頭部挙上にて18%減少したが、その時点で15mmHgの頸部圧迫を行なうと4%、30mmHgの圧迫では約11%の改善をみた。HRに関しては、45度で約10%増加し、頸部を圧迫するとさらに増加した15mmHgの圧迫を加えるとICPは約5%上昇し、逆にCVPは約0.2%減少した。以上の結果、頸部の圧迫は不利益が多く、もし本操作を行うのなら持続的ではなく、一時的な処置として行なうべきと思われる。
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[Publications] 岩淵隆、蕎麦田英治 他:脳神経外科. 11(11). 1167-1176 (1983)
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[Publications] Iwabuchi,T.;Sobata,E.;et al:NEUROSURGERY. 12(2). 203-207 (1983)
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[Publications] 岩淵隆、蕎麦田英治:臨床麻酔. 8(12). 1473-1784 (1984)
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[Publications] 岩淵隆、蕎麦田英治:外科診療. 26(11). 1-4 (1984)
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[Publications] 蕎麦田英治、岩淵隆 :他: 小児の脳神経. 10(4). 257-266 (1985)
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[Publications] Iwabuchi,T.;Sobata,E.;et al:Am J Physiol. 250(3)Part2. H389-H396 (1986)
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[Publications] 引地基文:Neurol Med Chir(Tokyo). 28. 767-771 (1988)
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[Publications] Iwabuchi,T.;Sobata,E.;et al:Acta Neurochir.
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[Publications] 岩淵隆、蕎麦田英治:脳神経外科.