1987 Fiscal Year Annual Research Report
ステロイド性大腿骨頭壊死の成因ならびに予防法に関する研究
Project/Area Number |
62480319
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
川井 和夫 神戸大学, 医学部, 講師 (80116201)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松原 司 神戸大学, 医学部, 助手 (80192342)
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Keywords | 大腿骨頭壊死 / 脂質代謝 / ステロイド |
Research Abstract |
本年度は主に家兎を用いた実験的研究を行い, また臨床的研究としてステロイド大量投与患者に脂質代謝改善剤を併用投与しステロイド性骨壊死の予防法に関する研究に着手した. 実験的研究として当初の計画通り, 家兎に大量のステロイド剤を投与し, 約2ヶ月後脛骨上端部での骨内血流量と骨内圧を測定した. その結果ステロイド投与群では有意に骨内血流量が減少し, 逆に骨内圧は上昇することが判明した. 組織学的には骨髄の脂肪髄化が顕著であった. この研究に先立ち, 加齢に伴う骨内血流量も測定したが, 加齢に伴い血流量が減少しすることも判明した. 一方, ステロイド剤の投与が大腿骨頭に及ぼす影響を, 臨床例の剖検時に得られた組織標本より検索した. 生前ステロイド剤が大量に投与された20例と投与されていない患者19例の大髄骨頭を比較検討した. ステロイド投与群では骨髄の脂肪髄化と骨細胞への脂肪の沈着などが認められた. これらの所見は本症の成因として脂質代謝障害が関与していることを示唆するもので, われわれがいままで報告してきた所見と一致していた. 本症の成因として虚血が重要視されているが, 実験的虚血における骨細胞の変性過程においては, 骨細胞の脂肪変性は認められなかった. また前述の剖検例においてもステロイド剤の初期病的変化が観察されたが, この時点で血管壁や血管そのものに異常所見は認められなかった.
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Research Products
(6 results)
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[Publications] K.Kita;K.Kawai;K.Hirohata: J.Orthop.Res. 5. 569-575 (1987)
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[Publications] T.Yamamoto;K.Kawai;K.Hirohata: J.Orthop. (1988)
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[Publications] Y.Usui;K.Kawai;K.Hirohata: J.Orthop.Res. (1988)
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[Publications] T.Hirlse;K.Kawai;K.Hirohata: J.Bone Joint Surg.
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[Publications] K.Kawai;R.Saura;K.Uno;T.Shimizu;K.Hirohata: Trans, Orthop.13. 139 (1988)
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[Publications] 分担著書;川井和夫: "日本における股関節に関する最近の進歩(脂質代謝障害からみた大腿骨頭壊死の成因)" 金原出版, (1988)