1988 Fiscal Year Annual Research Report
ステロイド性大腿骨頭壊死の成因ならびに予防法に関する研究
Project/Area Number |
62480319
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
川井 和夫 神戸大学, 医学部, 講師 (80116201)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清水 富男 神戸大学, 医学部附属病院, 助手 (90196527)
松原 司 神戸大学, 医学部, 助手 (80192342)
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Keywords | 大腿骨頭壊死 / 脂質代謝異常 / ステロイド |
Research Abstract |
本年度は家兎に長期間ステロイド剤を投与した研究をまとめ、またもう一つの大腿骨頭壊死発症因子であるアルコールを家兎に投与する実験を開始した。臨床的研究としてステロイド剤の大量投与患者に脂質代謝改善剤を併用投与し、ステロイド性骨壊死の予防法に関する研究の中間的まとめを行った。 実験的研究として当初の計画どうり、家兎に大量のステロイド剤をおよそ半年間投与した。その結果、脛骨上端部での骨内血流量の低下と骨内圧上昇は、短期投与(6週)の実験よりも、さらに顕著であった。病理組織学的には骨髄の脂肪髄化と骨梁の菲薄化が漸次進行していた。またテトラサイクリング標識における骨形成能の検索では、ステロイド剤により高度に抑制されることが判明した。 一方、アルコールを投与した家兎では、血中のコルチゾール値が有意に増加していた。これは骨頭壊死の二大発症因子であるステロイドとアルコールの異なる因子を結びつける結果である。この実験よりアルコールも最終的には、ステロイド剤と同様の機序により骨頭壊死を発生させる可能性が示唆される。 臨床的にはSLEや腎移植後で、ステロイド剤が大量投与される患者に、脂質代謝症善剤であるクリィノフィブラートを併用投与した。1年後の現在までのところ、50数例中1例も骨頭壊死は発症していない。 これらの所見は、本症の成因として脂質代謝が関与していることを示唆するもので、われわれがいままで報告してきた所見と一致している。またステロイド長期投与の実験から、骨の脆弱性や骨修復能の低下も大腿骨頭のcollapseを来す原因として重要と思われた。骨壊死や骨の脆弱性を予防する目的で投与した脂質代謝改善も、壊死発生の予防効果があると思われる。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] K.Kita;K.Kawai;K.Hirohata: J.Orthop.Res.5. 569-575 (1987)
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[Publications] Y.Usui;K.Kawai;K.Hirohata: J.Orthop.Res. 7. 12-21 (1989)
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[Publications] T.Yamamoto;K.Kawai;K.Hirohata: J.Clin.Electron Microscopy. 21. 371-384 (1988)
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[Publications] K.Kawai;T.Hirose;K.Kita;K.Hirohata: Trans.Orthop.14. 74 (1989)
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[Publications] T.Takashima;K.Kawai;K.Hirohata;H.Mizoguchi;TDV Cooke: J.Bone Joint Surg.71. (1989)
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[Publications] Y.Watanabe;K.Kawai;K.Hirohata: Rheumatology Int.9. (1989)
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[Publications] 広畑和志,川井和夫: "特発性大腿骨頭壊死症の診療Orthopaedics特発性大腿骨頭壊死の病因(発生の危険因子について)" 全日本病院出版会, 5-14 (1988)