1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
62480324
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Research Institution | University of Hirosaki School of Medicine |
Principal Investigator |
尾山 力 弘前大学, 医学部, 教授 (60003349)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松木 明知 弘前大学, 医学部, 助教授 (20003543)
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Keywords | 硬膜外持続注入 / 癌性疼痛 / ブプレノルフィン / 日内変動 |
Research Abstract |
昨年のモルヒネに引き続き本年はブプレノルフィンの持続硬膜外注入を行ない、臨床的に検討すると同時に、客観的な指標として、これらの患者の疼痛時及び疼痛改善時におけるストレスホルモンの変化を検討した。<対照及び方法>対象となった症例は43〜73才の5名で、男3名、女子2名であった。ブプレノルフィンの持続硬膜外注入はCADD-PCA^<TM>を用いて行ない、ブプレノルフィンの注入量は各患者のそれまでの鎮痛薬の種類及び投与量を考慮して決めた。臨床的に疼痛の変化、血圧、心拍数、呼吸数、ブプレノルフィンによる副作用の有無などを観察した。ストレスホルモン測定のための採血は、ブプレノルフィンの硬膜外注入開始前で疼痛のコントロールが不十分な時点、およびブプレノルフィンの硬膜外注入により疼痛が改善されて3日程経ってからおこなった。各時点において8時、12時、16時の一日3回採血した。<結果・考案>CADD-PCA^<TM>使用によるブプレノルフィンの硬膜外注入により全例で疼痛は改善された。ブプレノルフィンによる副作用および注入器使用中のトラブルは認められなかった。当科初診時から軽い老人性痴呆の様な状態を呈していた73才の男性では、疼痛時の血漿コルチゾール濃度は8.0-14.5-9.0μg/100mlで日内変動は認められなかったが、疼痛改善時には16.5ー10.5ー5.0μg/100mlと明確な日周リズムが認められた。その後精査により脳転移が証明された。日内変動の改善は、脳転移による精神活動鈍麻のために、精神的因子(不安感など)のストレスホルモンに及ぼす影響が少なかったためと考えられる。しかし、血漿ACTH濃度の日内変動は疼痛改善によっても変化がなかった。他の症例では血漿コルチゾール及びACTH濃度の日内変動は、疼痛時・疼痛改善時共に認められなかった。つまり、今回の症例からストレスホルモンの日内変動には精神的因子が大きな関わりを持っていることが示唆された。
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Research Products
(1 results)