1989 Fiscal Year Annual Research Report
蓚酸カルシウム結石の発生に関わる蓚酸代謝に関する実験的並びに臨床的研究
Project/Area Number |
62480338
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
川村 寿一 三重大学, 医学部, 教授 (70026839)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
荒木 富雄 三重大学, 医学部, 助手 (00202747)
柳川 真 三重大学, 医学部附属病院, 講師 (50174537)
栃木 宏水 三重大学, 医学部, 助教授 (70024809)
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Keywords | 尿路結石 / 近位尿細管刷子縁膜 / 蓚酸 / 陰イオン交換系 / 赤血球膜透過性 |
Research Abstract |
前年度に引き続いて、ラット近位尿細管刷子縁膜(BBM)を使って蓚酸輸送機構の特性を検討した。 陰イオン系を介した蓚酸:水酸基交換系によりBBMから尿細管腔への蓚酸分泌の存在を報告したが、その他に蟻酸:塩素、蓚酸:塩素の輸送系を陰イオン輸送阻害剤を使うことより分別できることが判明し、第2の輸送系として、蓚酸:塩素(蟻酸)交換系の存在を見つけた。さらに、ナトリウム:硫酸共輸送系において、硫酸に代わって蓚酸が輸送されることも確認した。 蓚酸は生体にとってと有毒物質なので、これら3つの輸送系を使って、血管側膜よりくみ上げられた蓚酸は腎上皮細胞内に長くとどまることなく、刷子縁膜より尿細管間腔内へくみ出されて、尿中に排泄されるものと考えられる。このような腎上皮細胞内における蓚酸輸送は腸管上皮のそれに類似性が求められて興味深い。 次に、生体膜のひとつとして赤血球膜をとり上げて、その蓚酸透過性につき検討した。 赤血球膜における蓚酸流入速度(透過性)は、蓚酸カルシウム結石群では0.9±0.1(x10^<-2>/分)、対照群では0.7±0.01(x10^<-2>/分)と両群間で有意差はみられなかったが、結石群では膜透過性の亢進している症例の分布が目立っていた。この蓚酸に対する赤血球膜透過性の亢進状態から先に述べた腎上皮細胞における蓚酸分泌機構の異常を類推することは、少し飛躍した仮定と言わねばならないが、今後、生体膜異常の概念にたって、腸管上皮(膜)での吸収亢進、腎上皮(膜)での排泄亢進の観点から蓚酸代謝異常の検討が必要であると思われた。
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[Publications] 山川謙輔: "ラット近位尿細管刷子縁膜における oxalate:OH exchange" 三重医学. 33. 497-503 (1989)
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[Publications] Yamakawa,K.: "Oxalate:OH exchange across rat renal cortical brush border membrane" Kidney International.
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[Publications] Yanagawa,M.: "The formation of oxalate from glycolate in rat and human liver" Biochimica et Biophysica Acta.
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[Publications] 川村寿一: "Annual Review腎臓1990(IV.間質・尿細管.pp.122-128 尿細管蓚酸代謝,編者:越川昭三他)" 中外医学社, 298 (1990)
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[Publications] Yamakawa,M.: "Urolithiasis(Eds.by Walker,V.R.et al.pp.421-423)" Plenum Publishing Corporation, 1066 (1989)
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[Publications] Yamakawa,K.: "Urolithiasis(Eds.by Walker,V.R.et al.pp.447-450)" Plenum Publishing Corporation, 1066 (1989)