1988 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト卵巣癌の「臨床的薬剤耐性」の機序の解明に関する基礎的実験的研究
Project/Area Number |
62480349
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
塚本 直樹 九州大学, 医学部, 助教授 (30038830)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
斎藤 俊章 九州大学, 医学部, 助手 (80162212)
嘉村 敏治 九州大学, 医学部, 助手 (30152870)
加来 恒壽 九州大学, 医学部, 助手 (60185717)
松山 敏剛 九州大学, 医学部, 講師 (50038767)
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Keywords | 卵巣癌 / 抗癌剤耐性 / 抗癌剤感受性試験 / 病理組織学 / 化学療法 / 薬剤移行 |
Research Abstract |
1.In vitroでの抗癌剤感受性試験を基礎にした「臨床的薬剤耐性腫瘍」に対する化学療法の確立を試みた。Human Tumor Clonogemic Assayの結果から初回治療前の有効薬剤としてはその選択率からActinomycin-D,CDDP,Adriamycin,Cyclo-phosplamidlが挙げられる。薬剤耐性腫瘍ではこれらのうちCDDP,Actinomycin-Dの選択率が高かった。臨床的に選択薬剤を併用投与した結果、現在までにComplete Response例は認められないが、Partial response及び体腔液著効例が少数例認められる。今後症例を増加させる必要がある。従来卵巣癌の治療としてあまり使用されなかったActinomycin-Dの効果について臨床的に検討する必要があると考えられた。2.薬剤の腫瘍組織移行を調べるため、耐性腫瘍中のCisplatin濃度を周囲の正常組織と比較して検討した。その結果、Cisplatinの動注例、静注例いずれも、正常組織に比較し、耐性癌組織ではCisplatinの組織濃度が低い事が確認された。さらに病理組織学的に耐性腫瘍組織像を原発巣と比較してみると、癌組織が未分化になる傾向と共に癌組織中の脈管の数が著明に少ない事が確認された。以上より、耐性腫瘍組織では脈管の減少に伴う薬剤移行の低下により組織中の抗癌剤濃度が充分に上昇してない事が示唆された。3.癌組織内の抗癌剤に対する感受性に関するheterogeneityの有無について検討した。まず、原発巣に比し転移巣、腹水中の癌細胞はInvitroでの増殖率が良くassay成功率が高かった。原発巣、転移巣両者のassayが成功した例でそれぞれの選択薬剤を比較すると必ずしも一致せず、両者に抗癌剤感受性に関する差違が認められた。増殖態度が異なる事、抗癌剤感受性が異なる事から、両者は異なったpopulationに属する腫瘍細胞から成りたっている事が示唆された。同じ原発巣内でのheterogeneityの有無についてはassayの成功率が低く充分検討できなかった。4.放射線感受性試験は細胞株ではdose-responseが認められたが、fresh tumorを使用した場合の感受性は充分に確認できなかった。
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[Publications] 斎藤俊章,杉原耕一郎,岡留雅夫,塚本直樹: Oncology & Chemotherapy. 4. 403-412 (1988)
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[Publications] 松隈敬太,塚本直樹,藤伸裕,杉原耕一郎,斎藤俊章,加来恒寿,嘉村敏治,松山敏剛,中野仁雄: 癌の臨床. 34. 985-989 (1988)
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[Publications] T.Kamura: International Journal of Obstetrics and Gynecology.
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[Publications] 嘉村敏治: Karkinos.
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[Publications] 斎藤俊章,塚本直樹: Medico. 20. (1989)