1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
62480365
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
田村 修 愛媛大学, 医学部, 教授 (10035404)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
阿部 真知子 愛媛大学, 医学部, 講師 (80151108)
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Keywords | 斜視 / 眼筋自己受容器 / 筋電図 |
Research Abstract |
昭和62年度の本研究によって、視路の左右の感度差によって斜視が発生すること、および、三叉神経半月神経節をキシロカインで一時的なブロックを行うことによって永久的に斜視が矯正されることが発見された。昭和63年度はこれらの結果に基づいて次にような研究成果をあげることができた。 1)Master眼とslave眼の交代現象の発見。 斜視では、眼筋自己受容器がその発生に関与している。眼筋自己受容器に異常なインパルスを送る方の眼がmaster眼であり、その結果、眼筋に痙攣を起こして眼位に異常をきたす方の眼がslave眼である。一般にはこの関係には恒常性がある。しかし、実際にこの治療を行っていると、何例かは斜視が矯正されない例に遭遇し、これらを4直筋同時記録筋電図などで詳細に検討すると、master-slaveの関係が逆転していることが判明した。 2)三叉神経半月神経節ブロックによる斜視の治療法の確立。 以上の事から、三叉神経半月神経節ブロックによる斜視の治療は次にように分類されることが判明した。 a)1回のブロックで斜視が矯正される例。これはmaster-slaveの関係が強固なもので、変化しない例である。 b)1回のブロックでmaster-slaveの関係が逆転し、反対側の三叉神経半月神経節のブロックを必要とする例。これらの例には左右のブロックを必要した。 c)1回のブロックで斜視は矯正されなかったが、master-slaveの逆転はなかった例。これはブロックの技術に問題があるものと思われる。 以上は斜視の成因の解明に重要なdataである。
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