1987 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
62480369
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
雨宮 璋 北海道大学, 歯学部, 教授 (80018415)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小池 薫 北海道大学, 歯学部, 助手 (00195629)
飯塚 正 北海道大学, 歯学部, 助手 (80168062)
進藤 正信 北海道大学, 歯学部, 助手 (20162802)
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Keywords | 破骨細胞 / 骨吸収 / 走査電顕 / 透過電顕 / インドメサシン / プロスタグランジン / 微細構造 |
Research Abstract |
1.破骨細胞性骨吸収の形態像の比較検討:破骨細胞による骨吸収機構を解明するためには骨吸収部における形態像の全貌を把握することが必要である. そこでラットを用い, その上顎臼歯部頬側の歯槽粘膜を歯科用クレンザーを用いて擦過した後, 経時的に顎骨を摘出しその所見を比較検討し, 以下の諸点を明らかにした. (1)正常ラットの顎骨の頬側面は, 組織学的に緻密で滑沢な形状を示しており, 走査電顕的にも比較的緻密な表面構造を示していた. (2)実験群では歯槽粘膜部を中心に炎症性細胞浸潤がみられ, 顎骨の破骨細胞による吸収像が認められた. (3)出現する破骨細胞の大きさや数は, 損傷の程度によって異なり, それに伴い骨の吸収量にも相違が認められた. (4)走査電顕的には, 吸収窩は不規則な虫喰い状の陥凹として認められたが, その微細構造は透過電顕像ともよく対応する所見を示していた. 2.破骨細胞性骨吸収に及ぼすインドメサシン(IM)の影響に関する研究:破骨細胞性骨吸収を活性化する化学的仲介物質の一つであるプロスタグランジン(PG)の産生を阻害することによって, 骨吸収を抑制すると考えられているIMの影響を検索するための研究の一環として, IMを体重1kgあたり5mgの割合で, 12時間毎に投与しているラットの上顎第1・第2臼歯間に矯正用ゴムバンドを挿入し, 槽間中隔部における骨吸収の過程を組織学的, 一部電顕的に検索し, 以下の諸点を明らかにした. (1)対照群では, ゴムバンド挿入後, 歯間乳頭部を中心に強い炎症性変化が発現し, 多数の破骨細胞による骨の吸収破壊像が観察された. (2)IM投与群では, 炎症性変化は軽度で, 表層部に限局しており, 破骨細胞の数も少なく, 骨吸収量は対照群に比し, 著しく少なかった. (3)このようなIMの投与による骨吸収の抑制は, IMによるPGの産生の阻害によるものと思われ, 骨吸収におけるPGに重要性を示唆する所見と考えられる.
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Research Products
(1 results)