1988 Fiscal Year Annual Research Report
硬組織の病態薬理学的変化にかかわるリソゾーム性酵素の役割に関する基礎的研究
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62480381
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
加藤 有三 長崎大学, 歯学部, 教授 (20014128)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山田 美穂 長崎大学, 歯学部, 助手 (50191341)
山本 健二 長崎大学, 歯学部, 助教授 (40091326)
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Keywords | リソゾーム酵素 / カテプシンD / カテプシンE / カテプシンB / カテプシンH / 抗炎症剤 |
Research Abstract |
本研究の目的は、歯や骨などの硬組織の病態変化に伴うリソゾーム性プロテアーゼの役割を解明するための基礎的研究を行うことにある。本年度の研究の主体は前年度の研究に引き続いて、各種リソゾーム性プロテアーゼの分離精製とその酵素学的検索および抗体調製におかれている。とくに本年度は、アスパルティック酵素であるカテプシンDおよびEに焦点をあてて研究が進められた。両酵素は、ペプスタチンをリガンドとしたアフィニティカラムを含む各種カラムクロマトグラフィーによって高収率に精製された。両者は、酵素学的性質においていくつかの共通点はあるものの、免疫学的には交叉性のない相異なる蛋白質であることが明らかにされた。それぞれの酵素に対する特異抗体を用いた免疫生化学的および免疫組織学的検索によって、両者の生体内分布と組胞内局在が初めて明らかにされた。カテプシンDが殆んど全ての組織・細胞に広く分布しているのに対して、カテプシンEは極めて限定的な組織分布しか示さず、両者の機能的な相違を示唆するものとして注目された。カテプシンEが胸腺などのリンパ系組織や胃粘膜上皮などの消化管、膀胱などの泌尿器系に多量に存在していることから、これらの組織・器官の機能と本酵素の生理的機能との関係が推察された。カテプシンDとEは、消化管や泌尿器官では、明らかに異なった細胞分布を示すが、リンパ系組織ではよく似た局在パターンを示した。好中球を使った細胞内局在様式の比較では、カテプシンDは顆粒画分に、カテプシンEは細胞質画分に見られ、両者は細胞内局在においても異なっていることが明らかにされた。口腔組織では、カテプシンDは内縁上皮及び外縁上皮に均一な形で局在しているのに対して、カテプシンEは外縁上皮の最も刺激を受ける部位にのみ検出され、ここでも両者の機能上の相違が示唆された。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] Yamamoto Kengi: Biol Chem Hoppe-Seyler. 369. 315-322 (1988)
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[Publications] 山本健二: 炎症. 8. 217-222 (1988)
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[Publications] 山本健二: 日本薬理学会雑誌. 91. 371-376 (1988)
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[Publications] Yamamoto Kengi: J.Biochem. 105. 114-119 (1989)
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[Publications] Kato Yuzo: Jpn J.Oral Biol.31. 89-94 (1989)
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[Publications] Sakai Hideaki: Biochim.Biophys.Acta. (1989)
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[Publications] Yamamoto Kenji: "Intracellular Protein Catabolism" Springer-Verlag Japan Sci Soc Press, (1989)