1988 Fiscal Year Annual Research Report
唾液腺の脂肪酸を共有結合したタンパク質の生理的意義
Project/Area Number |
62480384
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Research Institution | Asahi University |
Principal Investigator |
横田 豊 朝日大学, 歯学部, 教授 (40075990)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
水野 真子 朝日大学, 歯学部, 助手 (80181907)
八代 耕児 朝日大学, 歯学部, 助手 (50182316)
亀山 泰永 朝日大学, 歯学部, 助教授 (50161245)
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Keywords | 唾液腺 / 耳下腺 / 脂肪酸化タンパク質 / 遊離脂肪酸 / TritonX-114 / 膜結合性タンパク質 |
Research Abstract |
細胞外からの各種刺激の受容並びに細胞内伝達機構の概要が明らかにされつつあるが、この機構の一部にはユニークなタクパク質(脂肪酸化タンパク質、acylated protein;AP)の関与の可能性が指摘されている。このタンパク質の脂肪酸組成は特徴的で、アシルCoAを共通の脂肪酸鎖供与体とするリン脂質(PL)脂肪酸組成と大きく異なっている。そこで、唾液腺細胞をモデル系としてこのAPを検索し、タンパク質及び脂肪酸の両面から検討することによって、その生理的機能を明らかにしようと試みた。生体膜からのAP抽出のため各種界面活性剤を検討したとこめむ、非イオン性界面活性剤、中でもTritonX-114を用いた相分離分画抽出法が有効である示唆を得た。ところで、ラット耳下腺細胞の生体膜タンパク質中の脂肪酸組成をミトコンドリア、ミクロソーム画分で分析するとパルミチン酸、ミリスチン酸、ステアリン酸が含量が高く、中でもこの傾向はミトコンドリア画分で著明であった。この結果は我々が明らかにしている各種生体膜PLと大きく異なっていた。そこで、AP,PLの両脂肪酸鎖供与体の全駆体である遊離脂肪酸(FFA)の分析と、唾液分泌刺激時のその動的変化を検討したところ、PLの場合はある程度FFA組成を反映しているものの、APとは大きく異なり、APへの脂肪酸導入時いは非常に厳密な気質特異性が存在することが示唆された。唾液腺細胞を用いてAPの機能を検索するには、唾液分泌刺激時のAPタンパク質部分、及び脂肪酸鎖の動的変化を観察することが有効である。そこで標識脂肪酸を取り込ませた細胞をフェニレフリン及びホルボールエステル(PMA)で刺激し、膜タンパク質組成の変動を検討した。しかしながら、用いた実験条件下ではタンパク質側及び脂肪酸鎖側の両者とも刺激による変化は観察されなかった。今後はAPの単離・精製を進め、生化学的、物理化学的特性を明らかにすると共に、機能の検索をし、APの生理的意義を解明する。
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[Publications] Koji Yashiro: Japanese Journal of Oral Biology. 30. 234-238 (1988)
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[Publications] Yasunaga Kameyama: Comparative Biochemistry and Physiology. 90B. 269-273 (1988)
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[Publications] Koji Yashiro: Compfrative Biochemistry and Physiology. 90C. 397-402 (1988)
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[Publications] Yasunaga Kameyama: Japanese Journal of Oral Biology. 30. 841-847 (1988)
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[Publications] Koji Yashiro: Archives of Oral Biology. 34. 203-208 (1989)