Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
島内 英俊 大阪大学, 歯学部, 助手 (70187425)
葛西 康宏 大阪大学, 歯学部, 助手 (60177417)
原田 泰 大阪大学, 歯学部附属病院, 助手 (10181025)
木村 重信 大阪大学, 歯学部附属病院, 講師 (10177917)
恵比須 繁之 大阪大学, 歯学部, 助教授 (50116000)
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Research Abstract |
病理組織学的に慢性根尖性歯周組織炎(根尖病巣)にはリンパ球や免疫グロブリン保有(産生)細胞などが存在することが確認されており, 根尖病巣の成立に免疫現象が関与していることが強く示唆されている. しかし, 抗原として働く根管内物質の解析はその抗原性状が著しく複雑なこともあり, 詳細は明らかではない. 一方, 根尖病巣局所に存在する各種の免疫担当細胞についても, その局在, 機能あるいは免疫ネットワークの中での役割についての解析はほとんど行なわれていない. そこで慢性根尖性歯同組織尖炎成立機序における免疫現象の関与を明らかにすることを目的として, 本年度は当初の研究計画に基づき, 根管内抗原物質の解析としての根管内細菌の分離, 同定を行ない, 次に根尖病巣内での免疫現象を推測する手掛りとして, 根管浸出液の性状を検討した. 根管内細菌の分離, 同定には, 非開放性感染根管を有する単根歯を被験歯とし, 感染象第貿削片を採取した. 総菌数を測定後, 分離根管内細菌は継代培養を行ない, 細菌学的および生化学的性状を指標に同定を行なった. その結果, 被験38歯より16属103株の根管内細菌が分離, 同定され, Actincnyces属,EubucTerium属,Lactobacillue属およびBacterodes属の細菌が高頻度に分離された. 一方,根尖部にX線透過像を有する根管からはEubactenum属,Bacteruides属が高頻度に分離された. また, Bacteroides属を含むすべてのグラム陰性桿菌はX線透過像を有する根管のみから検出され, グラム陰性桿菌が根尖病巣成立に深く関っていることが示唆された. 次に根管浸出液の性状を知る目的で, ELISA法を用いて浸出液中の免疫グロブリンの量的, 質的な検討を行なった. その結果, 被験21根管よりの浸出液中には多量の免疫グロブリンが検出された. また, 特にJgGクラスの免疫グロブリンが他のクラス(IgM,IgA)と比較して圧倒的に優勢で,慢性炎症巣の存在が強く示唆され, 同時に根尖病巣内で免疫現象が活発に作動していることが示唆された.
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