1988 Fiscal Year Annual Research Report
歯科鋳造用ニッケル・クロム合金の実用化とその鋳造法の確立
Project/Area Number |
62480401
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Research Institution | Aichi Gakuin University |
Principal Investigator |
長谷川 二郎 愛知学院大学, 歯学部・歯科理工学教室, 教授 (10064809)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鶴田 昌三 愛知学院大学, 歯学部・歯科理工学教室, 助手 (40183488)
伴 清治 愛知学院大学, 歯学部・歯科理工学教室, 講師 (10159105)
河合 達志 愛知学院大学, 歯学部・歯科理工学教室, 講師 (60167351)
高橋 好文 愛知学院大学, 歯学部・歯科理工学教室, 講師 (00090142)
福井 寿男 愛知学院大学, 歯学部・歯科理工学教室, 助教授 (50090147)
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Keywords | ニッケル・クロム合金 / 鋳造 / 腐食 / 電気化学的腐食挙動 |
Research Abstract |
前年度までにNi-Cr合金の鋳造法を検討するためNi-Cr2元合金ならびに3元合金の引っ張り試験を行った。その結果、鋳造体の機械的性質は一定せず、その主たる原因は鋳造時の諸条件に起因することが判明した。特に鋳造時における雰囲気し鋳型材の材質は、Ni-Cr合金の酸化生成に大きく寄与するため鋳造体に内部欠陥を生じさせるものと考えられる。このため本年度は鋳造機を改造し、鋳造時の雰囲気を一定に保つために合金溶解室の密閉性を高め、高純度アルゴンを導入して合金の酸化抑制に努めた。また数種の鋳型材の改良を試み、マグネシアセメントを原型およびつぼにコーティングする方法、あるいはリン酸塩系鋳型材を1000°C以上の温度で空焼きした。鋳型の場合には鋳造体の酸化抑制が可能なことが判明した。この条件下で鋳造したNi-Cr2元、3元合金のすべての組成での鋳造が可能となり、しかも探傷X線を用いて観察した結果、内部欠陥の発生は大きく抑制されていることが判明した。 また、これらの合金の溶出量、変色性、耐蝕性を測定した結果、Niの溶出量と自然電極電位の間には相関が認められ、Ni-Cr2元合金では、Cr量5.5wt%と10.8wt%の間に耐蝕性に対するCrの臨界濃度が認められた。また、成分元素の溶出量は添加元素によって左右されることが判明し、特にCu、Moなどの第3元素の添加により溶出量が低下することが判明した。しかしながら、Si、Mnの添加による影響については一定の効果が認められず、Si量4.6wt%添加では溶出量が低下し、6.5wt%ではNi溶出量は増大したが、耐孔蝕性は向上した。Mnの添加ではNiの溶出量が増大した。現在これらのことをふまえ引っ張り試験の再実験を行うと共に、移植用の試験片を製作しており、次年度にはこの試験片を用いて生体適合性の試験を行う予定である。
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Research Products
(2 results)