Research Abstract |
62年度は,I,粘膜弁法による口蓋形成手術後の口蓋の印象採得を行い,これを用いて歯列,口蓋形態を分類すること,2,術後の構音の状態の検査,3,構音の状態と歯列・口蓋形態との関係について調査した. 調査対象は,1才1ヵ月から1才9ヵ月の間に口蓋形成手術を行い,術後1年2ヶ月から6年を経過し,上顎の右膏模型による分析を行い得た50症例である. 言語成績は,口蓋裂単独群では,正常言語19/23(82.6%),口蓋化構音2例,声門破裂音と開鼻声+声門破裂音各1例であった. 片側性唇顎口蓋裂群では,正常言語20/27(74.1%),口蓋化構音6例(22.2%),開鼻声+声門破裂音1例であった. 術後の歯列・口蓋形態は,3グループに分類することができた. その結果,口蓋の深さ,歯例とも,ほぼ正常39/50(78.0%),V字状または鞍状狭窄10/50(20.0%),歯列・口蓋形態とも不良1例であった. 言語成績と歯列・口蓋形態との関係をみると,正常言語36/39(92.3%)の歯列・口蓋形態は,ほぼ正常,口蓋化構音7/8(87.5%)の歯列・口蓋形態は,V字状または鞍状狭窄であった. これらの結果から,術後の言語成績と歯列・口蓋形態との関連性が示唆された. 口蓋化構音を呈する症例について,構音時の口蓋と舌との接触状態について,エレクトロパラトグラフを用いて検査中である.
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