1987 Fiscal Year Annual Research Report
歯科施術時における疼痛の体性感覚誘発電位に関する研究
Project/Area Number |
62480409
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Research Institution | Tokyo Medical University |
Principal Investigator |
成田 令博 東京医科大学, 医学部, 教授 (00074526)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
内田 安信 東京医科大学, 医学部, 教授 (20074487)
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Keywords | 体性感覚誘発電位 / 歯牙電気刺激 |
Research Abstract |
研究目的:疼痛反応は生体に対しほぼ定まった認織パターンで出現するが, その性質は個体における内部総合自己感覚といえる. 本研究は, 体性感覚誘発電位(SEP)を応用し, ASおよびC線維にて構製される歯髄の特殊性を生かし, 主観的表現である疼痛を数値として表現できるよう定量的解析を行い, 痛みの客観的検出を目的として実施した. 研究方法:歯牙に矩形pulse刺激を与えて生じる実験的疼痛を対象として, 疼痛刺激がSEPにおよぼす影響及び鎮痛剤投与によるSEPの経時的変化を計測し併せて鎮痛剤の血中農度測定を行った. その際基準値は健康成人におけるSEPを用いた. またpain scale表出法にて得たPSE (point of subjectiveequality)を各時点における疼痛刺激強度の客観的指標とした. 研究成績:1)N75,P100,N155,P255,N335という頂点潜時特性をもつ5相性の波形が全症例において共通して認められた. 鎮痛剤による潜時への影響は基準値との検定では有意差は認められなかった. 振幅の変化はpulse intensityに相関するといわれているN75ーP100,P100ーN155においては特に認められなかった. 疼痛感覚に対する統合的情報処理機能とされ, またassociation cortex potentialとも呼ばれているN155ーP255,P255ーN335においては, 投与群における一時間後のN155ーP255の振幅がP〈0.005で有意に減少した. 2)鎮痛剤血中農度の増加に対した,N155ーP255はr=-0.34(P〈0.01)という負の相関で振幅の減少が認められた. 3)PSEは両群において一様に経時的減少傾向を呈した. 以上の結果より鎮痛効果は,疼痛の脳内処理過程における言語反応では表現し得ない内因性電位即ちN155ーP255振幅の減少として認められた. これは鎮痛剤の視床におけるsomatotopic organizationへの影響を推察される.
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Research Products
(1 results)