1988 Fiscal Year Annual Research Report
歯科施術時における疼痛の体性感覚誘発電位に関する研究
Project/Area Number |
62480409
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Research Institution | Tokyo Medical College |
Principal Investigator |
成田 令博 東京医科大学, 医学部, 教授 (00074526)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
内田 安信 東京医科大学, 医学部, 教授 (20074487)
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Keywords | 体性感覚誘発電位 / 笑気 / 三叉神経刺激 |
Research Abstract |
目的:疼痛は主観的感覚であり、多次元的評価によって客観性が加味される。その成立機序のfactorは、感覚的側面が情動面で修飾され表示されるため、疼痛の客観的評価の分析は困難を極める。今回は笑気を用い経時的、段階的に疼痛閾値を変化させ、歯牙電気刺激が痛み感覚に対しどのような影響を与えるかを定量的に比較し、さらに笑気による麻酔機構を疼痛のparameterとして検索し、電気生理学的解析を行った。 方法:健康成人男子の健全な上顎中切歯に0.1msec単一矩形pulse刺激を強度1mAにて0.3Hzの頻度で与えた。痛みの測定には体性感覚誘発電位(SEP)を用いた。実験はroom air、100%酸素、15%笑気、30%笑気、15%笑気、100%酸素を一連にそれぞれ15分間吸入しSEP測定を行った。なお測定は不関電極を両耳朶に、記録電極をVertex(Cz)に置き、単極誘導にて導出した。Stimulation averageは1set64trialとした。 結果:刺激後50msecから500msecの波形に平均潜時N68、P98、N148、P260、N360の共通したpeakが認められた。SEP振幅はすべての成分で笑気濃度が減少するにつれて振幅が増加した。特にN150-P260における各振幅は、Pre-15%笑気にてP<0.05、Post15%笑気はP<0.01、30%笑気でP<0.001と有意に振幅を減少し、room air14.58μVと比較すると、それぞれ11.41μV(78.3%)、10.22μV(70.1%)、8.32μV(57.1%)であった。笑気濃度とSEP潜時を比較すると、30%笑気はすべての成分を有意に遅延させた。15%笑気はN70、P100、N150の早期成分において有意(P<0.05)に遅延した。以上の結果SEPは客観的に疼痛を捉えるために有用な指標であり、N_2O-O_2analgesiaにおいても至適深度を他覚的に決定する手段として有用と認めた。特にN150-P260は笑気濃度および疼痛と強い相関性があり、口腔における麻酔monitorとしても有用であることが判明した。
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Research Products
(1 results)