1989 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
62480415
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
高濱 靖英 九州大学, 歯学部, 教授 (20037518)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
阿部 潔 九州大学, 歯学部, 助手 (90167932)
鈴木 陽 九州大学, 歯学部, 助手 (20037542)
松田 政登 九州大学, 歯学部, 助手 (90108754)
一ノ瀬 元史 九州大学, 歯学部, 助手 (30150460)
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Keywords | 矯正治療 / 後戻り / 側貌頭部X線規格写真 / 咬合模型 / 遺伝 |
Research Abstract |
初年度に研究対象として得られた62症例に追加して、36症例を呼び出し資料を採取することができた。これら矯正治療患者98名について再度過去2年間に行ったのと同じ方法で分析した。 1)側貌頭部X線規格写真から得られた11変数について (1)顔面頭蓋形態を表す変数では、矯正治療中あるいは術後観察期に平均値としては大きな変化は認められなかった。即ち顔面頭蓋形態は矯正治療の影響をあまり受けることはなく、その個体が持つ骨格系の成長パタ-ンを維持していたと考えられる。 (2)歯軸の傾斜を表す変数では、矯正治療に伴う変化は症例により様々であった。叢生や上顎前突症例では上顎前歯、反対咬合症例では下顎前歯の変化が大きかった。術後観察期の変化すなわち矯正治療に伴う後戻りが10〜20%程度認められた。また上顎前歯の歯軸は治療によりかなり自由に変化しても、術後観察期の変化は少ないが、下顎前歯の歯軸は治療において変化させることが難しいとの所見も得られた。 2)家族内相関関係について 顔面頭蓋形態を表す変数でも歯軸の傾斜を表す変数でも、矯正治療が進むにつれて親子間の相関は高くなっていた。これは成人になるに従って遺伝的形質が十分に発揮されるためとも考えられるし、治療により咬合異常の口腔環境が壊され、その後安定していった状態にある程度家族性があるのではと考えられる。しかし、歯軸傾斜角については遺伝的影響は小さい、即ち矯正治療が成立つ所であるし、軟組織の適応がなければ後戻りする所であると考えられる。 遺伝的影響を考えずして、むやみに歯牙ならびに顎顔面頭蓋に強制力を加えることは、必ずしも矯正治療とはならない。矯正診断においては、遺伝的影響を考慮した成長の予測が必要である。
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Research Products
(1 results)