1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
62480418
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
桐野 豊 九州大学, 薬学部, 教授 (10012668)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平嶋 尚英 九州大学, 薬学部, 助手 (10192296)
安西 和紀 九州大学, 薬学部, 助手 (70128643)
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Keywords | シナプトソーム / シナプス小胞 / シナプス前膜 / 巨大化ベシクル / イオンチャネル / 神経伝達物質放出機構 |
Research Abstract |
1.シナプトソーム及びシナプス小胞をプロテオリポソームや平面膜に再構成した系及び巨大シナプトソーム(シナプトソームを融合させて巨大化させた標品)を用いて、シナプス前膜における神経伝達物質放出機構の解明に資する測定を行なうことが、本研究の目的である。 2.前年度に続き、再構成系において、ラット脳シナプトソーム及びシナプス小胞膜に存在するイオンチャネルの検索を行なった。数種のカチオンチャネル及びアニオンチャネルの存在が明かとなり、その性質に基づいて、これらが神経伝達物質放出に果す役割をモデル化した。 3.単離シナプトソームとリン脂質の超音波処理小胞を、適当な溶液中で混合し、液体窒素で凍結後、融解するという、新しい簡便な巨大プロテオリポソーム調製法を確立した。従来の一旦生体膜を可溶化する操作を含む調製法は、全操作を終える迄に長時間を要すること、界面活性剤が残存して脂質ー蛋白質相互作用を変化させる恐れがあること、また再構成膜中の蛋白質の配向性がランダムになると考えられること等の難点があった。ここで新しく開発した、界面活性剤を用いない、凍結ー融解法は、これらの難点を解決した。 4.生体膜小胞をプロテアーゼ処理、或は凍結ー融解処理した後、これにポリエチレングリコール溶液を加えてインキュベートすると、巨大ベシクルの生成が認められた。いろいろなパッチクランプ法の技術を適用したところ、"cell-attached法及びexcised patch(inside-out)法は容易に行うことができたが、"全細胞"記録法には未だ成功していない。更に種々の細胞操作法を試みたところ、巨大シナプトソームに微小ガラス電極を刺入して膜電位を測定し、或いは、蛍光物質のベシクル内注入を行うことができた。これは、従来の再構成膜系では不可能であった操作であり、巨大シナプトソームは神経伝達物質放出機構を解明する為の極めて有用な系であることが示された。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] Kenichiro Higashi: Journal of Biochemistry. 101. 433-440 (1987)
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[Publications] Kazunori Anzai: Biochimica et Biophysica Acta. 937. 73-80 (1988)
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[Publications] Chie Fujiwara: Journal of Biochemistry. 104. 344-348 (1988)
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[Publications] Yoshiro Saito: Biochemical and Biophysical Research Communications. 154. 85-90 (1988)
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[Publications] Naohide Hirashima: Biochimica et Biophysica Acta. 946. 209-214 (1988)
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[Publications] Kazunori Anzai: Biochimica et Biophysica Acta.
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[Publications] 小畠陽之助: "生体現象の物理化学" 講談社サイエンティフィク, 217 (1987)
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[Publications] 松橋道生 編: "新基礎生化学実験法第5巻「高次構造・状態分析」" 丸善,