1987 Fiscal Year Annual Research Report
二重蛍光標識法によるドラッグデリバリーシステムに適したポソームの選択
Project/Area Number |
62480422
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
後藤 茂 九州大学, 薬学部, 教授 (20037576)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木下 洋夫 九州大学, 医療技術短期大学部, 教授 (10037351)
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Keywords | リポソーム / カルセイン / カルボキシフローレッセイン / コレステロール / 二重標識法 / 血中薬物濃度 / 卵ホスファチジルコリン / マウス |
Research Abstract |
Calcein(CAL)の蛍光がCo^<2+>イオンの存在により消光するという現象を巧みに利用することにより, CALと化学構造が極めて類似しているCarboxyfluorescein(CF)を組合わせた系において分別定量が可能なことが確認できた. このことが両者を組合せた二重蛍光標識法確立の発端である. すなわち, CALとCFの分別定量にはCo^<2+>イオン濃度は25μM,EDTA濃度は25mMが最適で, マウス血液成分が存在する場合の蛍光強度と濃度間の補正値はCALが0.99,CFが0.94と決定できた. これら条件下でのCALとCFの定量限界は共に1picomoles/mLであり, 超微量分別定量が確立できた. そこでegg phosphatidylcholine(PC)とcholesterol(CH)を形成脂貭としてCH含量が異なるリポソーム, すなわち, PC/CHの組成比が30/30,30/18, 30/6の3種のリポゾームを調製した. この際, 超音波法によりCALとCFの等蛍光量液を封入した. 次に, CAL及びCF封入リポソームをマウスの尾静脈内に投与した後, 経時的に10μlの血液を採取し, 両者の分別定量を行なって血中薬物濃度の時間的推移を測定した. その結果, PC/CHが30/30のリポソームではCALとCFの血中濃度の時間的推移は完全に一致した. しかし, PC/CHが30/18組成のリポソームではCFの方がCALにくらべ, 僅かに速く消失する. さらに30/6組成のリポソームではCFはかなり速く消失してゆくことが認められた. このようにリポソーム膜組成中のCHのモル比が高くなるにつれてリポソーム中の薬物の漏れが少なくなるという結果は過去の報告と軌を一にするものであるが, マウスを用いた少数例の実験から迅速かつ正確な判定が行えるという点で二重蛍光標識法の有用性を確認できるという結果が得られた.
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Research Products
(1 results)