1988 Fiscal Year Annual Research Report
二重蛍光標識法によるドラッグデリバリーシステムに適したリポソームの選択
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62480422
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
後藤 茂 九州大学, 薬学部, 教授 (20037576)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木下 洋夫 九州大学, 医療技術短期大学部, 教授 (10037351)
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Keywords | リポソーム / カルセイン / カルボキシフルオロレッセイン / 卵黄ホスファチジルコリン / コレステロール / 二重蛍光標識法 / 超音波発生装置 / 保持効率 |
Research Abstract |
本研究は最近ドラッグデリバリーシステム(DDS)として注目を集めているリポソームの体内動態を精査する目的で二重蛍光標識法という新しい方法の確立化を目指している。すなわち、リポソーム内に封入する二種の蛍光物質として、カルセイン(CAL)とカルボキシフルオロレッセイン(CF)を選択した。本年度は上記二種の蛍光物質を包含したリポソームの調製の検討をプローブ型超音波発生装置を用いて行った。リポソームの素材としては前年度の報告書にも記載したように卵黄ホスファチジルコリン(PC)とコレステロール(CH)の混合物を使用しておりモル比を30/30、30/18、30/6と変化させると、常にCAL封入リポソームの保持効率の方がCFのそれよりも高くなることが判明した。そしてCH含量が高くなるにつれてこの傾向は顕著になり、特にPC/CH=30/30のリポソームではCALの保持効率はCFの1.3倍と大きな開きを生じた。この原因をCAL封入リポソームの粒子径が大きなためと予想し、これについての理論的考察を行なったところ、粒子径と保持効率とは比例関係にあることが示され、事実の裏付を行うことに成功した。又は、実際にゲルろ過法によりCALとCF両リポソームの粒子径の比較を行ったところ、CAL封入リポソームの方が粒子径が大きく、しかもCH含量が高くなるにつれ、この傾向が顕著になることが確認できた。この知見は封入薬物の種類によりリポソームの粒子径が変化する可能性があり、その結果リポソームの体内動態に影響を生じるかも知れない。次に、基礎検討の一環として、CALとCFを同一リポソーム中に封入したとき、CH含量の少い素材であるPC/CH=30/6を用いれば、CFの血液中への漏出が著しく、CF/CALの急速な低下が観察できる。しかし、30/30の場合は両者の血中からの消失は完全に一致し、血中で安定性に優れていることが分った。
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[Publications] 澤原英幸,木下洋夫,後藤茂: Chem.& Pharm.Bull.
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[Publications] 澤原英幸,木下洋夫,後藤茂: 薬学雑誌.