1989 Fiscal Year Annual Research Report
二重蛍光標識法によりドラッグデリバリ-システムに適したポソ-ムの選択
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62480422
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
後藤 茂 九州大学, 薬学部, 教授 (20037576)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木下 洋夫 九州大学, 医療技術短期大学部, 教授 (10037351)
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Keywords | リポソ-ム / ニ重蛍光標識法 / 粒子径 / カルセイン / カルボキシフルオロレッセイン / 体内動態 / エクストル-ション法 / 臓器分布 |
Research Abstract |
本研究はドラッグデリバリ-システム(DDS)として注目を集めているリポソ-ムの体内動態を精査する目的で二重蛍光標識法と命名した新しい方法の確立化を目指している。そこで、平成元年度(本研究の最終年度)はリポソ-ムの体内動態に影響を与えることが確実であるにも拘らず、未だ明確な結論が得られていない粒子径の問題に注目した検討を実施した。先づ、前年度に確立化した粒子径の異なるリポソ-ムの調製を行った。すなわち、粒子径が200nm程度のリポソ-ムの調製を目的としたが、調製に際して、ポリカ-ボネイト膜を用いたextrusion法を採用し、その後、逐次分画(遠心分離による)操作を行った。その結果得られた5分画の粒子群の定方向径を測定して粒度分布を求めた。各分画の平均粒子径は45.3から197.0nmの範囲にあることがわかった。ひきつづきこれらリポソ-ムをマウスに静脈注射した。実験の結果、過去の報告と異なる貴重な知見が得られた。すなわち、60nmの粒子径をもつリポソ-ムについて、循環血流中からの薬物(ここではカルセイン又はカルボキシフルオロレッセイン)の消失が最も遅く、これよりも粒子径が大きくても小さくても消失は速くなることがわかった。従って、リポソ-ムの体内動態において、生体は粒子径を識別する何らかの機構を具備している可能性があると考えられ、この点が今後の大きな課題になるものと考えている。 なお、リポソ-ムの臓器分布に関する検討を展開する予定で、肝臓、脾臓、肺臓、腎臟に移行した薬物の分別定量の試みを行った。定量妨害物の生体成分由来の蛍光物質は肝及び腎に多く、肺及び脾臓についてはほとんど存在しない。さらに適切な抽出溶媒の選択を行い、イソアミルアルコ-ルが比較的良好なことを見出した。残念ながら完成の域に到達せず、集約することはできなかった。。
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Research Products
(1 results)