1987 Fiscal Year Annual Research Report
アミロイドーシスの発症機構と血清アミロイドP成分の関与に関する分子遺伝学的研究
Project/Area Number |
62480427
|
Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
前田 秀一郎 熊本大学, 医学部, 助教授 (10117244)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
島田 和典 熊本大学, 医学部, 教授 (40037354)
瀬戸山 千秋 熊本大学, 医学部, 講師 (60040250)
續 輝久 熊本大学, 医学部, 助手 (40155429)
|
Keywords | 血清アミロイドP成分 / アミロイドーシス / ペントラキシン / 急性期蛋白 / 疾患モデルマウス / 家族性アミロイドポリニューロパチー / C反応性蛋白質 / プレアルブミン |
Research Abstract |
1.常染色体性優性の遺伝形式をとる神経難病, 家族アミロイドポリニューロパチー(FAP)では, 血清プレアルブミン(PA)の1アミノ酸が置換した異型PAが全身諸臓器の細胞外に沈着する. FAPの発症機構を明らかにすることを目的に, 以下の方法でFAPのモデルマウスを作成した. マウスメタロチオネインI遺伝子のプロモーター領域にヒト全異型PA遺伝子を接続した組換えDNA分子を運ぶ5匹のトランスジェニックマウスを得た. これら5匹中, 4匹の血清中には約1.0〜4.8mg/dlのヒトPAを抗体で認めた. これら4匹由来のトランスジェニックマウスについて調べたところ, 生後3ヵ月では諸臓器にアミロイドの沈着を認めなかった. しかし4ヵ月目に4匹の系統全てにおいて, 回腸末端の粘膜絨毛内にアミロイド沈着を見出した. 月齢を増すにつれ, アミロイド沈着量の増加と沈着臓器の拡大傾向がみられ, 6ヵ月目には, 食道胃接合部粘膜下層, リンパ節等にも沈着が見出された. これらアミロイド物質は免疫組織化学的検索により, ヒトPAから成ることが示された. これらマウスは今後FAPの発症に血清アミロイドP成分(SAP)がどのように関与するかを検討するために有用であると考えられる. 2.SAPとC反応性蛋白質(CRP)とは, 一次構造上相同性を有し, ペントラキシンと総称される. マウスを用いてSAPがアミロイドーシスの発症にどのように関与するかを明らかにするための基礎として, マウスのSAP及びCRPcDNAを単離し, 構造を解析した. またマウスCRP遺伝子を単離し, その全塩基配列構造を明らかにした. そしてマウス肝中のCRPmRNA量は, 細菌リポ多糖体(LPS)投与後4時間で約10倍増加することを見出した. 3.ヒトSAPを産生するトランスジェニックマウスにLPSで炎症を誘発すると24ー48時間後に肝中のヒトSAP mRNAが2〜3倍に増加することを見出した.
|
Research Products
(4 results)
-
[Publications] Murakami,T.: Cell Differ.22. 1-10 (1987)
-
[Publications] Yamamura,K.: Develop.Genet.8. 195-205 (1987)
-
[Publications] Wakasugi,S.: Proc.Jpa.Acad.63B. 344-347 (1987)
-
[Publications] Shimada,K.: Enzyme. 38. 65-71 (1987)