1987 Fiscal Year Annual Research Report
単離平滑筋細胞におけるカルシウム動態と平滑筋作用薬の評価
Project/Area Number |
62480430
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
遠藤 實 東京大学, 医学部, 教授 (50009990)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
飯野 正光 東京大学, 医学部, 助手 (50133939)
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Keywords | 平滑筋 / 単一細胞 / パッチクランプ / 細胞内カルシウム / 蛍光カルシウム指示薬 / スキンドファイバー |
Research Abstract |
本研究の初年度の計画は, 単離平滑筋細胞にパッチクランプを行いながら細胞内カルシウム濃度を測定する方法を確立することである. これらの方法の内, 我々の経験が最も少ないのはパッチクランプであったので, 細胞が細長く電気的な特性の点で不利な平滑筋細胞を使う前に直径数ミクロンの球状細胞を用いて予備的実験を行った. 細胞をパッチピペットに吸着させ, ギガシールを形成した後, ピペットに陰圧を加えることによって局所の細胞膜を破り, いわゆるホールセルクランプを行うことができた. この状態で細胞内カルシウム濃度を測定するために, 細胞内に蛍光カルシウム指示薬furaー2を導入して340及び380nmで励起したときの蛍光強度を測定した. Furaー2の導入には, パッチ電極から直接注入するか, 或は保存液中にfuraー2AMをくわえて細胞自身に取り込ませる方法の両方を試みたが, どちらの場合の十分量のfuraー2を導入することができた. 安定したパッチクランプ及び蛍光測定をおこなうためには, 測定系の振動を極力抑えなければならないが, 空気バネ式の除振台によってそれを達成することができた. 得られた測定値すなわち, 膜電位,膜電流, 340nm励起及び380nm励起の蛍光強度は, アナログデジタル変換機によって数値データに変えた後マイクロコンピューターによって取り込み磁気ディスクに保存した. この様な新しい実験系の開発と並行して, スキンドファイバーを用いた研究を進めた. 我々は, 共に平滑筋カルシウムストアは均一ではなく, カルシウムによるカルシウム放出機構とイノシトール三燐酸によるカルシウム放出機構(IICR)の両方を持つストア(Sα)とIICRのみを持つストア(Sβ)があることを示した. 今年度リアノジンがSαの機能を選択的に除去することを見出した. 次年度は, この様な新しい発見を単離平滑筋細胞の実験に応用して, 更に詳しい平滑筋のカルシウム動態を研究して行く.
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