1987 Fiscal Year Annual Research Report
衣料害虫の防除に関する研究ー合成ピレスロイド適用の検討ー
Project/Area Number |
62480442
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Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
辻井 康子 奈良女子大学, 家政学部, 教授 (50031654)
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Keywords | 合成ピレスロイド / 衣料害虫 / カツオブシムシ類 / 摂食阻害効果 / 接触毒 / ガスクロマトグラフィ |
Research Abstract |
近年,哺乳動物に対しては比較的低毒性といわれる合成ピレスロイドが,羊毛害虫にも用いられ始めており,その効果が認められている. とくに揮散性のあるdーエンペンスリは密閉容器で用いられ,すでに市販されている. そこで羊毛への防虫加工剤として数種の合成ピレスロイドを検討したところフェンプロパスリン,dーサイフェノスリンが有望でとくにイガ類にはごく少量で効果が大きい. しかし,カツオブシムシ類には食害を抑制する傾向がみられたが殺虫力は認められなかった. 今回はカツオブシムシを中心として,作用機構の検討を行ない,さらに羊目布への合成ピレスロイドの吸着を検討した. ピレスロイドの羊毛布への加工法は,有機溶剤にとかしてピペフトで必要量を付着させる方法を用いて,摂食の様子を歓察した. さらに殺虫力については, 濾紙にピペフトで必要量付着させる方法,シャーレの底にピレスロイドの薄膜をつくる方法の2つを試みた. ヒメ,ヒメマルカツオブシムシとも羊毛布上に0.01mg濃度が付着しておれば,6ヶ月間の摂食阻害効果がみられた. しかし,ヒメマルカツオブシムシでは除々に食害が増加する傾向が,みられるが視覚判定では食害は認められない. 顕著な殺虫力がみられないので,濾紙,薄膜による接触実験では死亡がみられ,とくに薄膜では死亡率が高くなり,ピレスロイドの殺虫機構は接触毒として皮膚を通して作用していると推測される. 尚,合成ピレスロイドの収着は,ガスクロマトグラフ,高速液体クロマトグラフで吸着量を定量して検討したところ,15時間で見かけ上平衡に達し,吸着等温線はフロインドリッヒ型を示すことが認められたので,次年度は合成ピレスロイドの羊毛布への吸着機構と殺虫,摂食阻害の関係について検討する.
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