1988 Fiscal Year Annual Research Report
衣料害虫の防除に関する研究ー合成ピレスロイド適用の検討ー
Project/Area Number |
62480442
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Research Institution | Depertment of clothing science,faculyty of home economics, Nara Women s University |
Principal Investigator |
辻井 康子 奈良女子大学, 家政学部, 教授 (50031654)
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Keywords | 衣料害虫 / 食害量 / 殺虫機構 / LD_<50> / 生物検定 |
Research Abstract |
合成ピレスロイドを衣料害虫防除に適用する研究をすすめているが、昭和62年度はピレスロイドを0.03%(o.w.f)加工した羊毛布に対して、イガ(Tinea pellionella)は90%以上の死亡率が得られたが、カツオブシムシ(Anthrenus verbasci)は6週間経過後も死虫はみられなかった。しかし、食害は抑制されており、食害量は原布の5%以下となり十分に防虫効果はみられた。致死活性は使用した合成ピレスロイド中、d-Cyphnothrinが大きいという結果が得られたので、本年度は殺虫機構および羊毛への吸着性を検討した。 1) 吸着機構および吸着力とイガに対する殺虫効果 メタノール溶液からの羊毛への吸着実験を行い、一定時間後の残浴中の濃度を高速液体クロマトグラフィーで定量した。吸着は15時間で見かけ上平衡に達し、平衡吸着量から求めた吸着等温線は、どの合成ピレスロイドでも初期には、ほぼ直線となり高濃度では吸着がやや抑えられる傾向がみられたので、フロインドリッヒ式に基づいたプロットを行ったところ、吸着力の序列は炭素数の大きいもの、またシス型とトランス型異性体が含まれているものは、シス型がやや大きな吸着性を示した。イガ幼虫への殺虫力は吸着力が増加するとLD_<50>が減少する傾向を示した。 2) 殺虫機構の検討 殺虫剤試験法の消化毒性法、フィルム法、局所施用法を用いて生物検定を行なったところ、フィルム法や局所施用法による死亡率が大きくなり、害虫への合成ピレスロイドの接触量の大小が殺虫力に関係し、接触毒としての作用の大きいことが示唆された。殺虫力の強さをカツオブシムシへの局所施用法でのLD_<50>で示すと、Permethrin0.09μg/幼虫、d-Cyphenothrin0.03μg/幼虫であった。布上の合成ピレスロイドの定量は、ヘッドスペース法によるガスクロマトグラフィーで効率よく行うことができた。
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Research Products
(2 results)