Research Abstract |
1.理学部臨海実験所においてAplysia Kurodaiの神経組織を多量に採取し, 神経組織に特異的に多量に含まれるPhosphonosphingo glycolipid,FGL-IIaおよびFGL-IIbを, 有機溶媒抽出, 液相間分配, ゲル瀘過および吸着クロマトグラフィーによって分離精製した. 核磁気共鳴分析によって純度を決定した後, 燐含量, 糖組成, 脂肪酸組成, 含燐化合物の分析, メチル化分析等を行って, FGL-IIa,FGL-IIb共, 1ケの2ーアミノエチルフォスフォン酸を含み5ケの糖からなるmono-phoshonopentaosylceramideであることを明らかにした. FGL-IIaは, 横成糖として各々1ケのNーアセチルガラクトサミン, グルコース, ガラクトースとフコースを含み, 残りのもう1ケの糖の構造は未定である. 1方, FGL-IIbは, 各々1ケのNーアセチルガラクトサミン, グルコースおよび2ケのガラクトースからなり, FGL-IIaと同じ未知の糖を1ケ含有していた. 未知の糖構造は, 目下GCMS核磁気共鳴分等によって研究を進めている. 2.これ等糖脂質に対する抗体をリポゾームを用いて家兎に作成し, 抗体価の高い抗血液を得ることが出来た. この抗体はFGL-IIa,FGL-IIbの両者に反応し, 当研究室で既に構造を決定した他のPhosphonosphingo glycolipid,SGL-I,SGL-IIおよび脊椎動物の糖脂質とは反応しない. 又, 本抗血清でAplysia kurodaiの組織を染めると, 神経線維束を強く染めることが明らかとなった. 神経組織から膜成分を分離し, 電気泳動後ブロットした蛋白質は, 本抗体で染色されず, 上記SGL-IIの分布とは明らかに異なることが明らかとなった.
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