Research Abstract |
本研究では, カブトガニ血球中のリポ多糖感受性C因子のポリペプチド鎖構成を明らかにする目的で, (i)1本鎖C因子の同定,(ii)各鎖のNH_2末端配列決定,(iii)A鎖の全アミノ酸配列決定を試みた. まず, 精製C因子をWe=stern blotし,標品中に共存する1本鎖C因子のNH_2末端配列を決定した. 次にCとC^^-両因子を構成する各鎖を分別し, そのNH_2末端配列を決定した結果,CとC^^-両因子のH鎖と1本鎖C因子は,いずれも同一配列を示し,C因子のL鎖とC^^-因子のA鎖の配列も同一であった. 一方, B鎖のNH_2末端配列は,スロンビンやキモトリプシンなどセリンプロテアーゼのそれらと高い相同性を示した. 以上の結果から, C因子のポリペプチド鎖構成は, NH_2末側からH鎖・A鎖・B鎖の順にあることがわかった. また, A鎖の全アミノ酸配列を気相シークエンサーを用いて明らかにした. A鎖は72残基からなり,哺乳類凝固酵素の活性化ペプチド領域との相同性は見られなかったものの, 補体系タンパク質のCls,Clr,H,C4bーbinding proteinなどに含まれるドメイン構造とA鎖との相同性が見い出された. 一方,上記の研究に平行して, LPSの構造成分であるリピドAの各種合成アナログや哺乳類の内因系凝固反応のトリガー(サルファチド,コレステロール硫酸,カオリンなど),さらにリン脂質によるC因子活性化能を検討した. その結果, C因子はリン酸基を有する合成リピドAのほか,Phosphatidyl=inositol,Phosphatidylglycerol,Phosphatidylserine,Cardiolipin,Phosphatidic acidなど,酸性リン脂質によって強く活性化されることがわかった. しかし, 陰電荷異種表面やPhosphatidylcholine,Phosphatidylethanolamineでは全く活性化されなかった.
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