1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
62480461
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
佐々木 正夫 京都大学, 放射線生物研究センター, 教授 (20013857)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
生島 隆治 京都大学, 原子炉実験所, 助手 (80027458)
江島 洋介 京都大学, 放射線生物研究センター, 助手 (50127057)
|
Keywords | シンクロトロン放射 / 単色X線 / 軟X線 / 染色体異常 / オージェ電子 / 核分裂中性子 / 原爆放射線 |
Research Abstract |
昨年度はシンクロトロン放射より得られる4.8keVから14.6keVの単色軟X線による染色体異常誘発率の解析から染色体異常が形成される過程には2個の1次損傷の相互作用があることを明らかにし、基礎過程に関する新しい仮説を提唱した。本年度は、さらにエネルギーの低い単色X線(2keV)で染色体異常誘発率を調べ、線量効果に線量係数の第1次項(α項)が消失し、光電子の飛程が生物学的効果の重要な要素となっていることから我々の仮説を支持する結果が得られた。単色低エネルギーX線のDNA傷害作用を知る方法に構成元素の吸収端を利用した共鳴効果が考えられるDNAの構成元素である燐の吸収端に近い2.15keVX線は吸収端を外れた2.14keVX線より効率がよく、また培地にBrdUを添加し、同様にブロムの吸収端のエネルギーのX線で照射すると染色体異常の収率に共鳴効果が認められた。この結果は、オージェ電子による集中的エネルギ付与が染色体傷害作用に有効に働いていることを示し、低エネルギーX線の応用面として癌治療などに共鳴効果に基づく光子活性化療法の可能性を示唆する。 低エネルギー中性子に関しては、本年度は近畿大学原子力研究所の原子炉(1W)より得られる低エネルギー核分裂中性子による染色体傷害作用を調べた。この中性子はエネルギースペクトの幅が広く、低エネルギー領域にも分散し広島における原子爆弾中性子のエネルギー分布に近似している。しかし、染色体異常に対する効率は、昨年度の実験で得られた^<235>Uエネルギーコンバーターから得られる核分裂中性子と近似してした。得られた核分裂中性子の生物学的効果比に基づいて広島・長崎の原爆被曝者の染色体異常の出現頻度(文献例)を分析すると、広島の原爆中性子が現在新線量体系(DS86)で推定されている量の約5倍あったとした場合、最も無理なく説明できる。
|
Research Products
(6 results)
-
[Publications] Sasaki,M.S.: Gann Monograph on Cancer Research. 35. 13-28 (1988)
-
[Publications] Ejima,Y.: Human Genetics. 79. 118-123 (1988)
-
[Publications] Sasaki,M.S.: Japanese Journal of Human Genetics. 34. 1-16 (1989)
-
[Publications] Sasaki,M.S.: International Journal of Radiation Research. (1989)
-
[Publications] Ikushima,T.: Ann.Report of Res.Reactor Institute of Kyoto University. 21. 161-163 (1988)
-
[Publications] Ikushima,T.: Proc.3rd Japan-Us Workshop on Tritium Radiobiology and Health Physics. (1989)