1987 Fiscal Year Annual Research Report
吸引細胞スメアを用いた甲状腺癌の組織型と悪性分化度の同時術前判定法の開発
Project/Area Number |
62480474
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
松山 敏哉 広島大学, 医学部・附属病院, 助教授 (50034111)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
武市 宣雄 広島大学, 医学部・附属病院, 講師 (20034655)
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Keywords | 甲状腺腫瘍 / 悪性度判定 / 酵素抗的法 / rasP21 / EGF / TGFα |
Research Abstract |
甲状腺腫瘍に対して, 酵素抗体法(間接法及びA.B.C.法)を用いた各種免疫組織化学的検討を加えた. これにより甲状腺腫瘍の悪性度がgrading出来るか調べる為である. これまでに甲状腺癌9例,そのうち高分化型のもの7例, 周囲臓器に浸潤する低分化型のもの2例と,この他に腺腫2例を加えた11例に対してras P_<21>,EGF,TGFαの免疫組織染色を行った. EGFは腺腫を含めた11例のすべてで陽性であったが, 強陽性を示したのは予後の悪い浸潤傾向の強い低分化型乳頭癌の2例であった. rasP_<21>,については腺腫の1例が染色されなかったものの,他の10例はすべて陽性であった. 染色性の強弱と悪性度には今迄所相関性はなさそうである. TGFαについては腺腫の2例を除くすべてで陽性であったが, 分化癌の2例と高度浸潤型の低分化癌の1例で強陽性を示した. 以上より, 症例数はまだ少ないが, これまでの結果からは甲状腺腫瘍の悪性度はEGFとTGFαの組み合わせで判定できる可能性があると思われた. 今後さらに症例数をふやすと共に, 本来の目的である甲状腺腫瘍の穿刺吸引細胞を用いた免疫染色を行い, 術前の悪性度の判定の手段としたい. 又, mic,erb2の免疫組織化学染色についても検討を加えるつもりである. なお,BrDUの検出は,検査試薬量では腫瘍内への取り込みが不良であるため,当面は大量使用時の副作用を考え,この方面での臨床研究を中止しているのが現状である.
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