1987 Fiscal Year Annual Research Report
心身障害児者の療育と教育におけるパーソナル・コンピュータの利用研究
Project/Area Number |
62490001
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Research Institution | Hokkaido University of Education |
Principal Investigator |
山形 積治 北海道教育大学, 教育学部・旭川分校, 教授 (70002623)
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Keywords | 障害児教育 / 知能検査 / コンピュータ知能診断 / WISCーR / ウイスの積木模様 |
Research Abstract |
本研究は道立旭川養護学校(肢体不自由義務教育)の協力を得て行っているものであり,本年度の研究目標は肢体に障害を有する(中には基能障害の重複児もいる)子供達の知能診断をコンピュータを用いて実施することの有効性を実践的に証明する点においた. 障害児を問わず,健常児も含めて知能の判定をする目的は,他との比較によって相対的な知能の水準を求める場合もあるが,本年の目的は個人の知能の長所短所を判定し,対象児の知能の構造を知り,その個人に最もふさわしい教育を行ったり,職業の選択を行ったりするためのものである. しかし,検査の種類によっては意志通りに手が動かない肢体不自由児者にとっては判定に不利を生ずる場合が多々ある. 又,重度障害を有する場合には判定不可能という極端なケースも生ずる. 今年度は特にWISCーR知能診断検査の動作性をみる検査をパソコン上で行なすソフトを作り,簡単なキー操作で検査が行えるようにし,7〜15歳の障害を有する被検者32名について,"積木模様"での診断をコンピュータによるものと従来の方法による結果とを比較した. その結果次の事柄が明らになった. (一)コンピュータを用いた場合,重度の子供にあっても,途中で検査を放棄するようなレースはなく,楽しみながら検査を終えた. (二)従来の方法とコンピュータによる場合とでは,正答数の単純比較では後者の方が大幅に高い. この二点の結果からコンピュータによる検査では肢体の不自由から生ずる緊張が少くリラックスした検査環境が作れる. 又,従来の方法ではパターンの認識は出来ていても手が不自由であるために"積木"を並べることが出来ないでいる被検者が多くいたことになる. 以上のようにコンピュータによる障害児者の知能診断は有効な方法であることが実証された.
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Research Products
(1 results)