1988 Fiscal Year Annual Research Report
診断を目的とした高速液体クロマトグラフィー多波長検出システムの機能高度化の研究
Project/Area Number |
62490004
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
土肥 健純 東京大学, 工学部, 教授 (40130299)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐久間 一郎 東京電機大学, 理工学部, 助手 (50178597)
高井 信治 東京大学, 生産技術研究所, 講師 (20013188)
大久保 昭行 東京大学, 医学部, 教授 (20010423)
妹尾 学 東京大学, 生産技術研究所, 教授 (40013099)
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Keywords | 多波長高速液体クロマトグラフィ / 吸光度計測 / 紫外部短波長領域 / 溶離液 / アセトニトリル / 糖類 / 臨床検査 |
Research Abstract |
昭和63年度では、昭和62年度に開発された高性能多波長検出器の基本性能を踏まえ、波長200nm以下の領域(紫外部短波長領域)における吸光度計測を目標にハードウェアを改良し、多波長高速液体クロマトグラフィシステム(以下、多波長HPLCシステム)を構築した。 光学系に関しては、回折格子をブレーズ波長300nmのものから200nmのものに変更し、合成石英より成るレンズ集光系、フローセル等を整備した。また、システムを遮光して外部光による影響を抑え、内部の窒素充填で、酸素による波長200nm以下の吸収を防いだ。この結果、検出可能限界を波長180nmまで短波長側に求めることができた。 ノイズ対策としては、光学レールに検出器、光源、レンズ系を乗せ、全体を剛性の充分ある鋼鉄板上に配置した。また、システム全体を防振ゴム上に乗せて防振対策を行った。さらに、積算回数を毎秒20回程度取ることによって、ノイズレベルの低減を図った。この結果波長185nm以上においてはノイズレベルを吸光度換算で10^<-3>、195nm以上においては同じく10^<-4>を実現した。 今回、波長200nm以下の領域における吸光度計測の一例として、臨床検査上有用な糖類の一つであるglucose(12mg/ml)について評価実験を試みた。波長200nm以下の領域における吸光度計測では、溶離液の吸収が大きな問題となるため、波長200nm以下で比較的吸収の少ないアセトニトリルと純水の混合液を採用し、ODS系カラム充填剤を用いて、多波長逆相クロマトグラフィを行った。その結果、波長190nm以下においては依然溶離液の吸収があるものの、波長193nmにおいては0.7程度の吸光度が得られ、従来の多波長HPLCシステムでは充分計測できなかった臨床検査上有用な生体成分が計測できることが示唆された。
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