1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
62490006
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
浜中 人士 東京医科歯科大学, 医用器材研究所, 教授 (10013955)
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Keywords | NiTi / 合金 / 形状記憶合金 / 精密鋳造 |
Research Abstract |
今年度は以下のような研究を行なった。 1.NiTi合金の人工関節への応用 人工関節は耐摩耗性を必要とするが、NiTi合金を用いて骨頭部のみを作製し、耐摩耗性試験を行なった。その結果NiTi合金は従来の人工関節よりもはるかに耐摩耗性がすぐれ、人工関節用の材料としても可能性があることが判った。 2.耐食性試験、長期間浸漬によるイオンの溶出試験 生体中で使用する材料は、耐食性に優れ、長期間使用しても金属イオンが溶出しないことが必要である。ポテンショスタットを用いてアノード分極曲線を求め、各種溶液を用いた長期間の浸漬による金属イオンの溶出試験を行った。その結果この合金は歯科用としての十分耐食性があることが判った。 3.NiTi合金の熱処理条件の検討。 NiTi合金は、NiとTiの割合を変えることにより、変態点や特性を変化させることができるが、熱処理によっても特性が変化する。精密鋳造したNiTi合金の熱処理についても検討したが、この合金は熱処理の温度や時間によって特性がいろいろ変化することが判った。とくに500℃付近の熱処理と、440℃付近の熱処理とでは機械的性質かかなり変化し、熱処理温度を変えることにより機械的性質が可逆的に変化するという結果が得られた。この現象は金属学的にも興味深い現象であると思われる。 これらの研究成果はNiTi合金の応用範囲を広げるだけでなく、歯学や医学それに一般工業界にとっても重要であると考えられる。
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[Publications] 米山隆之: 歯科材料器械. 7. 120-127 (1988)
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[Publications] Okamoto,Y.: Scripta Metallurgica. 22. 517-520 (1988)