1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
62510006
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
村上 勝三 山口大学, 人文学部, 助教授 (80144905)
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Keywords | デカルト / 『情念論』 / 行為論 / インデックス / OCP / 形而上学 / 意志 |
Research Abstract |
昨年度入力したデカルト『情念論』についてのデータを編集し、東京大学大型計算機センターにおいて公開すべく準備を進めた。現在のところ『省察』「反論と答弁」、『哲学の原理』を先に公開する予定であるので、『情念論』の公開は遅れる見込みであるが、研究者の便宜を考慮して、G.RODIS-LEWIS編集による版の頁数・行数に合わせてファイルを編集し、OCP(Oxford Concordance Program)にかけて随意にインデックスないしはコンコーダンスを作成できるようにした。 上記の順序からして『省察』の基本的語彙についてその意味を確定しつつ、さらには解釈を重ねつつ『情念論』 についても哲学的に重要な用語を抜き出してその意味を明確にせねばならない。それはまた、形而上学を構築する書物である『省察』と行為論としての『情念論』との体系的順序からも明らかなことなのである。しかしながら、このような知見はデカルト解釈史上当然のことと看做されながらも,明確にされてこなかった点なのである。本研究代表者は『情念論』のさまざまな用語の検索を行いながら、『情念論』を新しい角度から読み解くための視点を得た。それは以下の知見に基づいている。「第四省察」が諸「省察」のうちでも、これまでデカルト哲学解釈史上明確な位置を与えられていなかったのであるが,その由因するところはストア哲学からの流れとの連関と断絶を見失っていた点であり、この点を踏まえつつ「第四省察」の意義を明確にし,かくてデカルト的「意志」概念の特有性が明らかになるや、『省察』と『情念論』、言い換えるならば、デカルト形而上学とその行為論の連繋する道筋が見えてくるのである。かくして、デカルト形而上学と行為論を結びつける鍵としてのデカルトに独自の「意志」概念を明確にすることによって、デカルト的更衣論の現代的意義を解明する基礎的準備が整えられたことになるのである。
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