1987 Fiscal Year Annual Research Report
絵画刺激を用いたハトの短期記憶過程と自然概念の効果-SPR課題を用いて-
Project/Area Number |
62510042
|
Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
實森 正子 千葉大学, 文学部, 助教授 (80127662)
|
Keywords | 短期記憶 / 自然概念 / 弁別学習 / 絵画刺激 / デンショバト |
Research Abstract |
動物における自然概念の成立は従来, 弁別課題を用いて行われてきた. 本研究は短期記憶課題を用いることによって, ハトにおける自然概念の成立の一般性を求めると同時に, 自然概念が短期記憶課程にどのような効果をもつかを検討した. 動物, 建物, 風景, 昆虫, 物体などのカラースライド(計120枚)を継時呈示し, 今呈示されている刺激が/試行前に呈示された刺激と異なる(DIFF)が同じか(SAME)の弁別をmultipie VI6"(FR5)-Extスケジュールで訓練した. 刺激呈示はSAME試行で10秒, DIFF試行で2〜10秒, 試行間隔は1秒であった. 訓練完成の後, 試行間隔を延長して保持テストを行った. 弁別比は保持時間の関数として減少し, かつ, SAME試行では前試行での刺激呈示時間が短いほど誤反応が出現する傾向がみられた. その後, SAME試行での刺激呈示角度を3段階に変化して, 同様の訓練を行った. 訓練完成の後, 新しいスライドを刺激とする転位テストを行って, 訓練で用いられなかった刺激についても呈示角度の違う同一刺激間のSAME判断が可能であるか否かをみた. 以上の2実験の結果より, 本研究で開発された課題(SAME/DIFF弁別又は1セッション内でのFAMICIAR/NOVEL弁別)はハトの短期記憶と自然概念を検討するパラダイムとして有効であることが認められた. 次年度は本年度の成果を踏まえて, 自然概念の短期記憶過程への効果を更に検討する. その1つとして, 個々のスライド刺激についてのSAME/DIFF弁別ではなく, 自然概念としてのカテゴリイクラスについてのSAME/DIFF弁別が可能か否かをみる予定である. また, ヒトを被験者とする短期記憶課題でみられるような刺激タテゴリイによるProactive Interferenceと, カテゴリイ移行によるRelease from Proactive Interferenceがハトにおいてもみられるかを検討する.
|