Research Abstract |
本年度は, 上記研究課題に関して, 次の三つの分担課題に関する基礎的研究を行った. 1.個人要因に関する発達心理学的研究, 2.状況要因に関する発達心理学的研究, 3.認知・情動要因に関する発達心理学的研究. 本研究課題を実施するに当り, まず本邦並びに外国で発表された最近の関連文献を読み, それらを本研究の分担課題に即して整理して分類した. また研究代表者は過去数年来, 本研究課題に関連のある幼児の共感性並びに愛他的(向社会的)行動に関するいくつかの実験的並びに保育実践的研究を行い, その成果を国内及び国外の学会で発表してきたが, 最近では幼児の愛他性(向社会性)判断とその理由づけについても研究を進めてきている. 本研究課題を推進するためには, この幼児の愛他性(向社会性)判断とその理由づけに関する実験資料は大いに参考にすべきものなので, それらの基礎資料に関する再整理と再分析を行った. 本研究の分担課題の1は, 個人要因に関するものであるが, これは分担課題の2と3の実験的研究を実施するに当っても, 関連する重要な基礎的資料になり得ることが次第に分かってきた. そこで分担課題の1の個人要因は, もちろん1つの固有の分担として研究を進めているが, 同時に分担課題の2と3にも参考・関連する性質を持たせて, 本年度この部分の基礎的研究に多くの時間を費した. そこで, 幼児・児童の共感性・向社会的行動に関する基礎的資料を得るため, 年中・年長幼児, 小5, 中2を被験者とし, その教師・保母, 保護者を対象として, 子どもたちの共感性や向社会的行動の生起や教(保)育の有無等に関する質問紙調査法によりこれを査定した. また教師(保母)による行動評定も実施した. 文献的研究, 向社会的判断と理由づけ, 質問紙調査法によりこれを査定した. また教師(保母)による行動評定等も実施した. 文献的研究, 向社会的判断と理由づけ, 質問紙調査法, 行動評定等の諸結果が得られたので, これらを参考にして, 本格的実験的研究は, 予定通り第二年次において完結する予定である.
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