1987 Fiscal Year Annual Research Report
日中の行動に及ぼすウルトラディアン・リズムの影響に関する生理心理学的研究
Project/Area Number |
62510057
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
堀 忠雄 広島大学, 総合科学部, 助教授 (10020132)
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Keywords | ウルトラディアン・リズム / 認知活動 / 周期分析 / 脳波分析 / α帯域パワ / コヒーレンス分析 / 半球間力動性 / 時間心理学 |
Research Abstract |
男子大学生20名を対象として, 実験室での睡眠を記録した後, 朝の8時から夕方の18時まで10時間を閉鎖室(isolation Unit)に孤立させ, 15分ごとに課題遂行量を判定するとともに, ポリグラフィ記録をおこなった. 時間的制約から課題を2分割し, 10名については(1)線分の長さの判断, (2)中点の判断(空間異方性テスト), (3)時間判断(2分間推定), (4)眠気(KSS)の判断の4課題を行った. 他10名には, (1)心的回転テスト, (2)片仮名単語の仲間合計テスト, (3)漢字の音韻-形態マッチングテスト(二漢字熟語の読みが同じで, 同じ文字を含む対を検出する)及び(4)仮名単語の記憶再生テストの4課題を課した. 知覚課題(線分, 中点, 時間)の成績には200〜250分周期のウルトラディアン・リズムを同定することができた. 仮名・漢字テストでは, 200分前後のリズムに加えて110〜170分周期のリズムが同定された. 課題成績と脳波活動の対応関係を検討するこめに, 課題直前の安静脳波をFFTによりスペクトル分析した(5.12S×6, ハミングウィンドウ). 半球間の力動性を調べるために, α帯域のパワの左右差(優位半球比較)と半球間のコヒールンス(脳波の同期性)を検討した. 半球間力動指標はいずれの脳波記録部位(中心, 頭頂, 後頭, 側頭)で160〜180分周期のリズムと240分前後の遅い同期変動力が認められた. このことは, 左右の半球の相対的活性度や半球間の同期性が約3時間ごとに交代していることを示している. 脳波にみられる半球間活動のリズムと知覚・記憶・認知成績の日内変動とに対応関係がみられ, 相互相関関係のあることが確かめられた. 主成分分析により指標間の相関構造を調べると, 行動レベルのリズムは脳波の同期性よりも, 左右差のリズム(活性半球の同期的交代)と対応していることがわかった. 各指標の時系列間の位相関係については, 今回の分析では明確な傾向を抽出できなかった. 方法的改善をはかり位相情報を検討中である.
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