1988 Fiscal Year Annual Research Report
相互交渉性を含んだ事態での対人スキーマの機能と特徴に関する検討
Project/Area Number |
62510063
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Research Institution | Teikyo University of Technology |
Principal Investigator |
山本 真理子 帝京技術科学大学, 一般教育, 助教授 (70166825)
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Keywords | 対人情報処理 / 対人スキーマ / 認知対象との相互交渉性 / 好意性の情報 |
Research Abstract |
本年度は、昭和62年度に行なった実験の結果を整理、検討した。また、報告書作成にあたり、「対人スキーマ」に関する概念の整理と研究の動向を展望した。また、対人認知の現象をめぐり、従来の研究領域である「対人認知」研究の特徴と限界を整理し、新しく発生した研究アプローチである「対人情報処理」(社会的認知)研究と比較しながら、対人情報処理過程の検討で、特に重要な課題となるべきものの理論的検討を行なった。 その結果、理論的検討では、認知対象が人間である場合の情報処理過程では、特に、「認知者ー認知対象の相互関係性」が大事であることが指摘された。また、この「認知者ー認知対象の相互関係性」には、(1)認知者と認知対象との社会的関係性、(2)認知対象に関する判断結果とその判断結果が認知対象の反応に与える影響、(3)認知対象から認知者に向けられた感情的/評価的反応が対象の認知に与える影響の3つの側面があることが、従来の研究結果の検討を通して示された。なお、報告書の実証的検討で示されている2つの実験は、この「認知者ー認知対象の相互関係性」の3側面のうちの(1)と(3)を検討したものである。 2つの実験の結果を整理したが、その結果、(1)認知者が認知対象と直接的に関係する場合はそうでない場合に比べて処理される情報の内容や認知者が対象を認知している時に注意を向けていたと答えた点などが異る、(2)認知対象が認知者に対して肯定的/否定的反応を向けている時はそうでない時に比べて処理される情報の内容や処理された結果形成された印象の内容が大きく異ることなどが、明らかにされた。
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Research Products
(1 results)