1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
62510075
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Research Institution | Tokyo Engineering University |
Principal Investigator |
渡辺 正孝 東京工科大学, 工学部, 助教授 (50092383)
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Keywords | 意識 / 記憶 / 見えない知覚 / 閉下知覚 / 分離脳 / 無意識 / 健忘 |
Research Abstract |
本研究は「意識されない知覚」や「意識されない記憶」に関する生理心理学的メカニズムについて文献的に調べたものである。 視覚一次野の損傷を受けた患者は、ものがあると意識出来ないにもかかわらず、テスト法によっては、何らかの知覚をしている事が示されせている。これが「見えない知覚」Bにnd sightである。これは上丘を中心とした第2視覚系の働きによって可能になると考えられている。 閉下知覚とは、閉下で提示され、意識されない刺激も、生体に何らかの影響を及ぼす現象を言う。閉下刺激が意識にのぼらないのは、刺激が弱くて網様体賦活系の活性を十分に上げないためであると考えられている。閉下刺激に対しても誘発電位は得られるが、それは一次成分からのみなり、二次成分は刺激が意識される強さになった時に表われる。 分離脳の研究では、右脳と左脳が別々の意識を持ちうる事、そして右脳は言葉を持たないので、その活動内容は意識にのぼらない事、さらに右脳の活動によって生じた行為の原因については、左脳は推測するしか方法がない事などが明らかにされている。 なお「多重人格」や「催眠」についても「意識されない記憶」という観点から興味ある事例が数多く報告されているが、その生理心理学的トカニズムについてはほとんど明らかになっていない。 海馬を中心とした脳損傷により健忘に陥った患者は、新しい物事を覚える事が出来なくなる。しかしこうした健忘症患者も、「運動学習」、「知覚学習」、「古典的条件づけ」などの「手続き的記憶」については、その学習経験の意識なしに、成立が可能である事が知られている。それ故記憶には少なくとも2種類の生理的メカニズムがあると考えられる。 なお正常人においても、プライミング効果は、プライム刺激が意識されない場合でも起こる事例が報告されている。
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