1988 Fiscal Year Annual Research Report
サルの下部側頭葉連合野の視覚性機能代償機構に関する神経行動学的研究
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62510081
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Institute for Neuroscience |
Principal Investigator |
大沢 康隆 (財)東京都神経科学総合研究所, 医学心理学部門・主事研 (40100135)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
靭負 正雄 (財)東京都神経科学総合研究所, 医学心理学部門, 主事研究員 (20113491)
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Keywords | マカクザル / 下部側頭葉連合野 / TE野 / TEO野 / 皮質破壊実験 / 視覚弁別学習 / 過剰訓練効果 / 視覚性機能代償 |
Research Abstract |
本研究の目的は、サルの下部側頭葉連合野(IT野)内で解剖学的に独立し、機能分化した前半部(TE野)と後半部(TEO野)が相互にききう代償を果すかどうかを神経行動学的破壊実験により明らかにすることである。このために、視覚課題(図形弁別学習課題や連合記憶課題等)を豊富に経験したサルにTE野とTEO野の二段階組合せ追加摘除を施行し、摘除効果の順序性、秩序性について検討する。 本年度は視覚課題を過剰訓練した群(昨年度から継続)と非過剰訓練群(新規)とを設け、TE野とTEO野の単独摘除での過剰訓練効果と各摘除サルの術後の再学習完成後における記憶保持能力を比較、検討した。その結果、術前の過剰訓練の有無に関係なくTE野摘除サルは図形弁別課題及び連合記憶課題で障害を示し、更に再学習完成後の保持及び再保持テストの成績は徐々に改善されたが不安定で障害が持続することが知られた。一方TEO野摘除サルは両群とも図形弁別課題でのみ重度な障害を示し、保持も悪いことが知られた。尚、TE野摘除サルは図形弁別課題で過剰訓練による学習障害の軽減効果が見られたが、他の摘除群や他の課題では殆ど過剰訓練効果は見られなかった。現在、実験継続中であり確実なことはいえないが、これらの知見は術前に過剰訓練を経験してもIT野の各中枢野が損傷を受けた場合、障害の軽減効果は殆ど見られず、TE野が視認知記憶に、一方TEO野が視形態知覚に密接に関与するという県会を指示する。過剰訓練したTE野摘除サルが示した障害の軽減効果の背景機構についてはIT野での機能代償(可塑性)とも関係する重要な課題であり更に詳細な検討が必要と考えられる。 来年度は二段階目の組合せ追加摘除効果と損傷部位の組織学的検査を合せて検討し、成果をまとめて行きたい。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 大沢康隆: 日本脳研究会会誌. 14. 171-173 (1988)
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[Publications] 大沢康隆: 日本心理学会第52回大会発表論文集. 429 (1988)
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[Publications] 大沢康隆: 日本脳研究会会誌. 15. (1989)