1987 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
62510086
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
小林 月子 岐阜大学, 教育学部, 助教授 (00004094)
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Keywords | 農業生産組織 / 兼業化 |
Research Abstract |
62年度においては, 下記の三地域の三つの生産組織について, 兼業化の進展の具体相を把握することに努めた. 三つの生産組織とは(1)愛知県安城市の高棚営農組合, (2)岐阜県瑞浪市の大鍬機械化営農組合, (3)宮城県鹿島台町の山船越水稲・養鶏組合である. これらの生産組織は, その地域の社会・経済的条件を反映し, おのおの異なる組織上の問題や課題をもっている. 地域や組織が異なれば, そこにみられる兼業代の具体相も, それに対応する生産組織の形態や課題も異なってくるのである. その比較対照は, 日本農業の現状の一面を如実に現わしているといえる. そこで, 具体的には以下のような調査研究を行なった・(1)予備調査…対象地の社会・経済的構造に関する基礎的資料及び農業生産に関する基礎的データを関係諸機関より収集するとともに当該生産組織の形成・展開に関する基礎的資料を入手した. (2)本調査I(就業構造・農業経営調査)…基礎調査票および各種資料を用いて関係農家の就業構造の変化と農業経営の変化の二点を中心に, 兼業化の具体相をとらえた. 以上の調査から以下の諸点が確認された. (1)三つの生産組織に共通にいえることは, 生産組織の存在が当該地域の個別農家の農業経営の縮小・解体を促進しているということである. (2)生産組織間の分解が進行しつつある. 安城市の例では, 同市内の26の生産組織のうち, 状況への適応に失敗した組織は, 縮小・解体の途をよぎなくされており, 対応に成功した組織は規模拡大に成功している. (3)同一生産組織内部での分解が進行している. 同一組織内においても, 後継者の有無や面積拡大実績状況, その他組織に固有の問題によって分解が進行中である. たとえば宮城県の山船越水稲・養鶏組合においてはこの20年間に16戸中5戸の組合農家の離脱を生み出しており, 今後もこの傾向は続く見込みである.
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Research Products
(1 results)