1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
62510091
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Research Institution | HIROSHIMA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
小谷 朋弘 広島大学, 法学部, 助教授 (60106789)
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Keywords | 紛争処理 / 裁判外紛争処理 / 弁護士 / 司法書士 / 市民相談所 / プロフェッション / 法意識 / 社会意識 |
Research Abstract |
今年度は、20歳から69歳までの成人男女1,000名(広島市民)を対象に調査を実施。調査方法は郵送法。回収率は40.2%。今回の調査は法律にかんするものであって、内容が若干複雑であることから、回収率は低くなっている。なお、当初計画していた紛争処理経験者に対する聴きとり調査は、問題の性質上多くの協力をえられないことが予測されたため、今回は実施せず、クェショネアによる一般的な調査方法を採用。 今回の市民調査は、第1に、契約書の必要性や交通事故の法的解決などの諸種の法意識、第2に、公志向と私志向、個人主義と相互主義、同調と非同調、権威主義、伝統主義といった一般的な社会意識、第3に、類型的に設定された法律問題についての、処理に対する市民の意識や態度、第4に、市民の紛争処理機関へのアクセスを問題内容、第5に、弁護士と司法書士に対する市民のイメージを柱としている。 主要な知見をまとめると、市民生体に権利意識が強くあらわれており、市民の80%が法に対する信頼性を示すとともに、96%の市民が契約書の必要性を肯定している。また離婚問題にしても、裁判による解決を志向するものが過半を超えている。しかし、社会意識についてみると、かならずしも「私」や「個人主義」が顕著であるわけでなく、権利意識の強さの基底には依然として共同体意識があるといえる。問題類型別に処理方法をみると,全体的に問題別の処理の分化がみてとられるが、注目されるのは、弁護士や法律相談が多くの問題で重要な機関として支持されていることである。これと関連して注目されるのは、アクセス経験で弁護士が57件とトップを占めている点である。権利意識の強さと弁護士利用が結びついて現代型の紛争処理モデルを構成しているといえる。イメージの点では、弁護士、司法書士とも似たような傾向にあり、親しみにくく営利的である反面、庶民の味方信頼できる存在となっている。
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Research Products
(1 results)