1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
62510096
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Research Institution | Taisho University |
Principal Investigator |
石川 到覚 大正大学, 文学部, 講師 (50119400)
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Keywords | 精神障害者福祉 / 地域ケア / 地域システム / 地域作業所 / ボランティア生活保護施設 / 自助組織 |
Research Abstract |
本研究は、精神障害者福祉の確立のための基礎研究として、主に、地域ケア・システムを体系付つけることが研究の目的である。 研究結果を研究計画に即して述べると、1.救護施設では、全国的動向をみると精神障害者の入所率が高く医療・看護と個別援助活動の強化および地域援助活動が求められ、地域に資源化された福祉施設を中心としたケア・システムが必要である。2.作業所では利用者の地域生活の促進のために多様な機能が求められている。援助者の人材確保と運営基盤の確立が急務であり、地域ケアの中核としての機能強化と障害者の生活圏内での諸サービスの有機的連携化が必要である。3.患者会では当事者相互の支持と地域交流活動の組織化や各セルフ・ヘルプ・グループの連携と活性化が期待され、かつ、当事者活動への支持ネット・ワークが重要である。4.地域住民による支持システムとしての精神保健ボランティアの育成の促進事業は、地域活動領域の拡大とその導入方法の開発によって重要な機能を持ち得る。住民参加は、最も困難である偏見・差別の解消に役立っていることが証明された。5.職親制度を鍵システムとする時、現在の制度では就労促進のため〓は極めて不充分であることなどが研究結果の内容として提示できる。 以上の結果を総括すれば、現在の法・制度システム(ハード・システム)を危急に改善すべき点は障害者の自己決定の充分なる保障と社会参加の機会を促進するための条件を整えることである。その場合、障害者が地域社会での生活を成立させるための地域ケアシステム(ソフト・システム)を障害者の生活関係の諸場面での相互作用を通じてサポートするネット・ワークを形成することがなによりも重要であることが導き出された。したがって、各々のシステムの有機的結合の具現化を計るための方策が実践的研究法によって開発されなければならない。
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