1987 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
62510101
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Research Institution | Bukkyo University |
Principal Investigator |
倉橋 重史 佛教大学, 社会学部, 教授 (90067835)
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Keywords | 行為論 / 価値意識 / 科学技術 / 情報 |
Research Abstract |
この研究の目的は1.「もの」と人との関係. 2.「もの」社会の構造を社会学的にとらえることにある. 本年度は1.の「もの」と人との関係を中心にみようとした. しかしこのためにはそれを社会学的にどのようにアプローチするのか, その方法は何かといった基本的な問題を明らかにすることが必要になる. そのため, (1),「もの」と人との関係を行為論から分析しようとした. それはa)「もの」の生産,b)交換,c)所有 d)消費 e)処理と人間とどのように関係するかという点の分析である. (2),「もの」と人との関係は, 人の「もの」への価値付与という側面からみなければならない. 人間にとって「もの」は, たんなる対照としての「もの」に本具的な価値だけでなく, 判断主体の価値意識がそこに働らくゆえに「もの」となるからである. (3),「もの」と科学技術との関係である. 科学技術の発展は「もの」の生産, 加工, 管理, 処理等々に大きい影響を与え, 大量生産, 大量販売, 大量消費の社会構造を生み出してきた. またそれは「もの」に直接関係する専門家と一般大衆の二重構造をも生み出してきている. (4),「もの」情報の問題である. 人と「もの」との関係は「もの」を媒介するイメージのコミュニケーションである. 現代社会の「もの」の支配所有, 分配, 消費のプロセスは「もの」に関する情報の支配, 所有者と密接に関連しており, 情報を操作する側とされる側の構造化をもたらしている. 今後の研究計画は(5)の「もの」文化の問題をオーダムのTechnicwaysの概念を用いて分析し, (6)の「もの」の「ひと」化, 「ひと」の「もの化」(7)の「もの」社会の構造について考えたい.
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[Publications] 倉橋 重史: 佛教大学社会学部論叢. 22. (1988)
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[Publications] 倉橋重史,谷口茂,大西正曹: "『現代社会と人間』第二章科学技術と社会" 朝倉書房, 250 (1989)