1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
62510104
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
木田 融男 立命館大学, 産業社会学部, 助教授 (50094503)
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Keywords | 「空洞化」 / 配転 / 出向 / 他社派遣 / 経営多角化 |
Research Abstract |
主として自動車産業と鉄鋼業における「空洞化」の進行とそれが労働者および地域住民に与える影響を実証的に把握した。1.自動車産業については今年はトヨタ自動車の国際化が豊田市住民に与える影響を調査した。具体的には地域新聞の関連記事をスクラップし、そこに該当するイッシューを実際に面接等で調査した。豊田市の場合、「国際化」に関連して道路問題が住民生活に影響を与えており、(1)海外輸出港の衣浦と豊田を結ぶ道路整備、(2)海外からの部品輸入港の名古屋と豊田を結ぶ高速道路建設のイッシューが在る。自動車の町における地域住民は、道路公害や農業に対する被害を訴えている。また2.鉄鋼業については昨年に引き続き、住友金属和歌山製鉄所および日本鋼管福山製鉄所の労働者の実態と地域の状況とを調査した。鉄鋼は、円高の影響で各社は何度も「合理化計画」を策定しなおしているが、この2社も例外ではない。ただこの1〜2年で言えることは、円高「空洞化」という企業側の雰囲気作りが「功」をそうしたのか、予想を上まわる「合理化」の推進が見られたことである。住金和歌山にいたっては、予定より1年も早く「合理化」が進行し、その結果計画を練り直した。両企業における労働者は、しかしながら住金和歌山では鹿島への配転、日本鋼管福山では扇島への配転が見られ、また各社共通なものとして出向、他社派遣が見られた。住金和歌山では、高齢化にともない定年前労働者への「指名解雇」や賃金制度の改訂による実質賃金「切り下げ」などが表われている。そして製造業の共通の傾向として、サービス業への「多角化」が行われ、熟練形成をしてきた労働者の職種の変換が問題となっている。そういった動きに対して和歌山市では、企業内の労働者のみならず地域住民の各階層が組織を形作り、住金の「空洞化」を考えるシンポジウムなどを企画している。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 職業・生活研究会 編: 立命館大学人文科学研究所紀要. No.45. 202-219 (1988)
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[Publications] 木田融男: 佐藤守弘編 「産業構造の変動と労働者階級の再編成」. 5-35 (1988)
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[Publications] 木田融男: 労働運動. 278. 184-192 (1988)