Research Abstract |
本研究は, 山梨県における問題のある子ども, 長期欠席児童, 生徒の家族地域における諸属性, 環境を調査し, その改善策を社会学的に検討しようとするものである. 問題をもつ子どもの発生は, 誕生からはじまり, 幼少期の親子関係, とりわけ, 親が子どもに対処する態度との相互作用過程の中で生成されるといわれている. したがって, 今年度は, 幼少時に問題があると専門家に認識されている家族の諸属性について記述式によって実態把握を行った. そして, 年度末に, 長欠の子どもの実態と子どもをとりまく環境の実態を把握する調査を実施し, 現在, 回収中である. 問題をもつ子どもの親, 家族について, 専門家による記述調査を実施して得られた特徴的な知見は次のようなものである. 1.子どもが発達障害である例では, 夫の無理解, 無関心が多く, 今だに地域に根ざした因習, 慣習の影響が認められた. したがって, 夫婦関係, 近隣関係等の人間関係面のあり方が検討される必要がある. 2.母親の精神的な障害では, 日常生活において相談相手が必要であるが, それがほとんど不在であること, さらに, 社会的施設の充実が必要であることが指摘できた. 3.その他, 母親の就労の仕方, 保育園のあり方, 親の対応, 母親自身の人間的成熟の問題等があった. 山梨県における問題をもつ子どもの実態把握をした結果, およそ次のようなことが浮かび上がってきた. 1.発達段階によって問題の発生に特徴がある. 問題の発生は各学年固有のものと幼少時から潜在しているものがある. とくに, 小学3.5年, 中学2.3年, 高校2年に特徴がある. 2.問題の発生状況を男女比でみると, どの学年も2:1で男子が多い. 3.その他, 家庭環境は一般的傾向と同様であったが, さらに改善策を中心とする検討を加える必要があった.
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