1988 Fiscal Year Annual Research Report
多肢選択問題の形式が内蔵する特性と、それが教育に及ぼす影響
Project/Area Number |
62510149
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Research Institution | KAWASAKI MEDICAL SCHOOL |
Principal Investigator |
斎藤 泰一 川崎医科大学, 医学部, 教授 (00048258)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
那須 郁夫 日本大学松戸歯学部, 講師 (80112952)
有田 清三郎 川崎医科大学, 医学部, 助教授 (20098601)
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Keywords | 多肢選択問題 / 教育への影響 / 試験問題の良否の判定 / 識別係数 / ファジィ推論 |
Research Abstract |
1)第19回医学教育学会大会において、多肢選択問題(MCQ)による評価の教育に及ぼす影響について、またMCQの問題数と信頼性との関係について発表した。MCQが"客観"テストと定義されているが、これは知識の程度や能力を客観的に評価できるテストと誤解されて信頼されている。しかし実際にはマークシートを用いて機械が採点できる。すなわち誰が採点しても同じ点数になるという意味であり、これが画一的で知的自由のない人間を形成する原因になっている。また知識の量と得点の間に平行関係が欠けており、それが大きな欠点になっている。問題数を増やしても、知識の有無と正誤答が1対1に対応しないので、信頼性が向上するとはいえないことを示した。 2)同上の学会で、MCQの形式に、さらにその選択肢を選んだ理由を簡単に書かせる形式を用いて行ったテストの結果を報告した。五肢択一形式の問題では、正答者のうち63.2%が正しく理解して正答したが、残りの3分の1はあて推量で正答していた。誤答者のうち、64%は誤った知識を持って間違っていたが、残りの3分1はあて推量であった。このように理由を書かせる形式を追加すると、MCQを用いても、知識の程度はかなりの精度で正しくつかめると思われる。 3)MCQの個々の問題の良否を識別係数を用いて判定しているが、これは非合理的であることを明らかにした(川崎医学会誌1989) MCQの難易度の決まり方や、選択肢の順序を変えた時のシミュレーションを行い、またテスト実施の前後の分布(本年度の共通一次テストの物理学、生物学のカサアゲ問題を含めて)について考究し、現在投稿準備中である。 5)MCQの特性は、ファジィ推論に深く関与している。
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[Publications] 斎藤泰一,有田清三郎,那須郁夫: 医学教育. 19. 371 (1988)
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[Publications] T.Saito,;S.Arita,;I.Nasu: Kawasaki Medical J.14. 127-132 (1988)
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[Publications] 有田清三郎,斎藤泰一,那須郁夫: 川崎医学会誌. 15. (1989)
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[Publications] 那須郁夫,有田清三郎,斎藤泰一: 医学教育.
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[Publications] 有田清三郎,斎藤泰一: "第4回ファジィ・システム・シンポジウム論文集" ファジイ推論からみた多肢選択テストーーファジィルールの基礎的研究, 303-307 (1988)
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[Publications] S.Arita,;T.Saito: "International workshop on fuzzy system applications" Fuzzy inference for finding the correct code in the multiple-choice question test, 131-132 (1988)