1987 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
62510200
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
東出 功 北海道大学, 文学部, 教授 (30041875)
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Keywords | 聖職者官僚 / 俗人官僚 / ロンドン聖マルティヌス大教会 / 王立自由礼拝所 / 教会参事会 / 聖職禄 / 官僚の給養財源 / 国王行政 |
Research Abstract |
本研究の申請時以降における準備作業の過程で, Public RecordsよりもむしろRolls Seriesを重点的に調査すべきであるとの判断に達し, その判断に基づいて聖職者官僚・俗人官僚の双方に関する基礎カードの作成作業を継続した. またその作業と並行して, ロンドン聖マルティヌス大教会に関する調査を進め, その成果を別記の通り発表した. 別記の論文は, 同教会の創設から廃止までの全期間をあつかい, 歴代参事会長46名全員について国王行政への関与の実態を検証したものである. 同教会は「王立自由礼拝所」の一つであり, しかもその代表例である. 王立自由礼拝所の参事会長・参事会員に関する人事権は国王にあり, 国王はそれらの聖職禄を国王官僚の給養財源として利用しえた. 従って王立自由礼拝所の実態解明は, 本研究の構想全体のうちで不可欠の一部である. 同教会については, 古くはM.Reddanの研究があり, また近くはR.Davisの研究がある. しかし歴代参事会長についてレダンの一覧表には不正確な部分があり, 今回の調査によって最終的に46名であることが確認されるとともに, 在任期間についてもかなりの程度まで明確にしえた. 国王行政への関与の実態についてはT.Toutの研究の限界を超えて全期間を展望し, その所見の一部を修正した. タウトの研究は14世紀末までを扱ったもので, 同教会と納戸庁との特異な関係が想定されていた. しかし今回の調査では, 納戸庁のみならず, 国王行政の部門にも広汎な関与を確認しえた. 別記論文の(下)はすでに脱稿しているが, 刊行は次年度になる. その中では同教会と他の王立自由礼拝所との性格の比較がなされ, 同教会が王立自由礼拝所の代表例であることを実証した.
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 東出 功: 東海大学札幌教養部彙報. 7. 157-169 (1987)
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[Publications] 東出 功: 北海道大学文学部紀要. 62. 55-88 (1988)
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[Publications] 東出 功: 北海道大学文学部紀要. 63. (1988)
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[Publications] 東出 功: 北海道大学文学部紀要. 64. (1988)