1987 Fiscal Year Annual Research Report
理科学的分析による本州産土師器の識別とその製作地推定
Project/Area Number |
62510219
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
天野 哲也 北海道大学, 文学部, 助手 (90125279)
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Keywords | 土師器の製作地 / 擦文分化 / 胎土分析 |
Research Abstract |
千歳市末広遺跡については土師器深鉢1, 同坏5, 擦文式土器深鉢6, 後北式土器1の計13点, 札幌市北大構内遺跡については土師器深鉢4, 同坏1, 擦文式土器深鉢1の計6点, 青森県島海山遺跡については土師器深鉢3, 同坏1の計4点, 同三内遺跡については土師器深鉢4, 同古館遺跡については深鉢5点, 秋田市秋田城遺跡については深鉢3, 坏3の計6点, 能代市福田遺跡については深鉢3点, 以上総計41点の土器片資料の提供を得た. これらに関する考古学的記載と写真撮影をおこない, ファイル化を完了した. また検鏡用薄片資料の作製もほぼおえた. これら土器片の概観的特徴による限り, 秋田以南の土師器と道内で出土した土師器の間には類似性が乏しい. したがって秋田以南の資料は今後の分析の対象から除外してよい. 検鏡による定性的分析を試みた結果では, 東北地方出土の土師器と道内出土の土師器の胎土は, 一般に堆積岩とタフ, それに鉱物としては石英, 斜長石を主に含み, きわだった差を認め難い. ただし, たとえば北大構内資料(PH3, No.41)は黒雲母とガンラン石を含んでおり特異である. また末広の資料(IH62, No.7)はアルバイト双晶の斜長石を多く含んでおりやはり特徴的である. なお, これら2点に対応するような資料は今年度得たなかにはみられない. 来年度の調査予定である岩手・宮城出土の土師器中に見出されることが期待される. またこの先に行う胎土中の鉱物・岩石の定量的分析作業によって資料間の親疎関係をとらえることができよう.
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