1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
62510238
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
玉城 政美 琉球大学, 法文学部, 助教授 (30101455)
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Keywords | 儀礼歌謡 / 歌唱主体 / 歌唱法 / 復唱法 / 分担歌唱法 / 分担 / 復唱法 / 復唱 / 斉唱法 / 歌形 |
Research Abstract |
昭和63年度は、多良間島における儀礼歌謡の存在基盤であるスツウプナカ儀礼(粟の豊饒感謝と予祝)を中心に、儀礼過程全般にわたる、映像・音声資料の作成を行った。そのほかに、現在は消滅した儀礼の中でうたわれていた歌詞も採集した。以上の結果、次の事項について確認・整理することができた。 1.歌詞の整理…スツウプナカは4祭場に分かれて行われるが、塩川集落の第4祭場アレーキを調査地点に選定して、9首の歌謡資料を収集した。また、現在は消滅した儀礼歌謡を数首採集した。それらを国際音声記号とカナ文字による表記で歌詞を記録し、あわせて訳文を付した。 2.歌形論的分類…上記の歌詞資料を歌形論的に分類・整理した。 3.歌唱主体…スツウプナカは儀礼組織が(1)ウイピトゥジャ(老人座)、(2)カンジンジャ(勧進座)、(3)インジャ(海座)、(4)クバンジャ(供物座)、(5)ブシャジャ(補佐座)などの職能集団に分かれること、歌謡の歌唱主体はウイピトゥジャが中心になり、一部において、ブシャジャの代表が参加すること、ウィピトゥジャへの加入条件は50歳以上の男性であることなどを確認した。 4.歌唱法…すべての歌謡とも、歌唱主体がムトゥバーリ(前唱者)とウティガーリ(後唱者)の二組に分かれて、(1)復唱法、(2)分担歌唱法、(3)分担・復唱法、(4)分担斉唱法などの方法によってうたわれることを確認した。 なお、スツウプナカは4祭場に分かれて、同時進行的に行われる。前年度に調査した仲筋集落と比較して、両者は基本的に同一であるが、かなりのちがいもみられる。他の2祭場の調査を実施して、比較してみることは興味深い課題である。
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Research Products
(1 results)